第11話
「あ、おにーちゃん、
ちょっともう帰るの!?僕の家に寄っていけばいいのに...!」
俺は振り返らなかった。
振り返ったらまずい、そう思った。
「え、ケンタ。
あの人がここまで連れてきてくれたってこと?」
「うん、そーだよ。
ここまで、おんぶして連れてきてくれたの」
「あ、あの...」
とたとたと俺のことを追いかけてくる足音がしたから、いよいよやばいと思った。
俺は駆け足でその場から逃げた。
なぜって、気まずいだろ。
マドンナは俺のこと軽蔑してるんだから。
マドンナの親友を弄んだってことで、
俺のことは邪険にしてんだからよ。
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