カーブミラー

カーブミラー

　これは僕がいつも通りの仕事帰りに出会った実体験です。

　家の前の通りに合流する、いつも通るＴ字路があるのですがそこには左右が古い民家で高い塀があります。

　その見通しの悪さを補助するためにカーブミラーがついているのですが、ある日深夜のこと、いつも通り合流のためにＴ字路の停止線で車を停止させ、右からやってくる車をカーブミラーで確認すると一台のタクシーとバイクがやってくるのが見えました。

　しかし、塀のせいで目視は出来ないので安全のために通り過ぎるのを待っているとタクシーが目の前を通り過ぎました。

　さて、すぐにバイクも来るだろうと待っているのですが、どういう訳かバイクが来ない。

　右の道には僕の家のほかにも何件か家がありますが曲がった様子もありませんでした。

　仕方なくゆっくりと前進し、通りに合流しようと右折するとやはりバイクの面影はありません。

　何となく不気味さを感じながらも車を車庫に入れ、エンジンを止めると……。

　何処からかバイクのエンジン音だけが聞こえ、家の前を通過していきました。

　バイクなんて走ってもいないのに……。

　怖くなった僕は急いで家に駆け込み鍵を閉めると急いで布団にもぐりこみました。

　今考えると、そんなに怖くもない話ですがその時の僕は心臓がバクバクしていました。

　後日、大家さんと話す機会があり何となくこの話をすると、大家さんの口から。

”以前もそんなこと言って引っ越した人がいたっけかなぁ”

　と言われました。

　しかし、大分お年を召した大家さんなので話の真意は不明ですが……。

　でも、その大家さんの話が最近本当の話だったんじゃないかと思い始めたんですよ。

　だっていつも決まった時間ぴったりに家の前を通るバイクっていると思いますか？