最狂の高校生

智ぃ-chii-

第一話


「「2040年2月某日,推定5歳の少年が日本海に浮かぶ島,佐渡島に漂流したが,島民によって奇跡的発見された。その後,警察によって保護されたが東京に送還された。身元不明ということで児童養護施設に入所する運びとなったものの,移送中の車両の事故により,行方不明となってしまった。この間メディアでは一時的に取り上げられたものの,2050年4月現在まで彼は失踪しており,その存在は未だ謎のままである。」」


「はぁ、アホらしい。最近の新聞ってこんなことしかネタないのかしらね。はぁぁ、憂鬱だわ。今日からまた出来損ない共の指導をするなんて。大体割に合ってないっつーの。まぁ、自分で選んだ仕事だし給料も高いからこんなこと言ってもしょうがないのだけれど。」


そう言って湯気の立ち上るコーヒーを飲み干し、椅子にかけてあったスーツのポケットからクリーニング済みと書かれた紙を抜き出すと慣れた所作で袖を通していき、適度な化粧をした後、ほんのり赤いリップを塗る。朝食の片付けを済ませ、卓上にあるキーケースを手に取ると、玄関へと行き新調したヒールを履く。


「さぁてと、夢見る少年少女の青ざめた顔を見るのが楽しみね。」


そうして彼女は職場へと足を運んでいく。






「起きてください、澪様。朝ですよ。本日は始業式です。」


そう言った彼女はカーテンを開けると、ベッドの上の大きな膨らみに向かって声をかける。

するとモゾモゾと大きなマシュマロが蠢き、中からひょこっと顔を出したのは、1人の少女だった。


「ふわぁ〜。おはよ〜漆。眩しくて死んじゃうよ〜。もうそんな日が来ちゃったのか、、、はぁ、やだな。めんどくさいな。一生寝てたいな。漆、寝ていい?」


とても豪奢な部屋と、王女様を現代へ連れ込んだかのような美しい顔立ちの彼女からは想像できないような言葉の数々だが、彼女はいつもこうだ。


「何言ってるんですか!ダメに決まってるじゃないですか!大体、澪様が起きて下さらないと私が主人様に怒られてしまいます!そうなったら、私、、、。あぁ、澪様はそれでもいいと言うのですね。グスッ。」「ぁぁぁあ!ごめん!起きる。起きます!ね?泣かないで?」


「あ、少し花粉がひどくて、鼻がムズムズしただけです。はい、ちゃんと言質はとったので起きてくださいね♪」


そう言って着慣れたメイド服の裾を摘んで一礼すると朝食の準備の為に部屋を出ていくのだった。



「…………へ?また、やられた……?」


幼い頃から澪の世話をしている漆にとって、彼女を操ることなど余裕のよっちゃんなのであった。




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最狂の高校生 智ぃ-chii- @chii_nanoda4

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