真夜中の至福な時間

一色 サラ

第1話

 一登かずとは寝付けず、目が覚めた。スマホで時計を確認すると、真夜中の2時を過ぎていた。お腹の音がなった。どうしようもにほど、お腹が空いた。

 ペットから立ち上がって、ワンルームの部屋にある小さなキッチンに向かった。棚からインスタンラーメンをガサガサと漁った。塩ラーメンを手に取って、開ける。

 鍋に適当に水を注いで、コンロに火をつけた。冷蔵庫を開けると、ビールや酎ハイなどの酒が大量が入っている。

 ちょうど、ラーメンに入れてもよさそうな魚肉ソーセージを見つけた。野菜は一切冷蔵庫には入っていなかった。普段から料理をしないので当たり前だった。それでも、何か野菜を入れたかった。

 しょうがいないので、魚肉ソーセージを手でちぎって、投入した。しばらくして、沸騰するお湯の中に、麺を投入する。1分ほど経って、粉末を入れていく。豪華ではないが、おいしそうなラーメンが出来上がった。


 散らかったテーブルにスペースを開けて、タオルを置いて鍋のまま置く。床の物を足で払って、座った。小さい声で「いただきます」と呟いて、箸で麺をすすると、喉越しが良かった。空きっ腹に食べるラーメンは、やっぱり格別なものだった。ラーメンの塩味がしみ込んだ魚肉ソーセージが、また美味しかった。ここに、卵があればなと少し後悔もよぎってしまう。窓の外から、いつしか雨音が聞こえてくる。冷蔵庫から、酎ハイの缶を取り出して、グイグイと飲んでいく。

 

 たまにはあってもいい気がする、真夜中の至福な時間。その時間を一登は1人で酔いしれた。


<完>

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