真夜中の至福な時間
一色 サラ
第1話
ペットから立ち上がって、ワンルームの部屋にある小さなキッチンに向かった。棚からインスタンラーメンをガサガサと漁った。塩ラーメンを手に取って、開ける。
鍋に適当に水を注いで、コンロに火をつけた。冷蔵庫を開けると、ビールや酎ハイなどの酒が大量が入っている。
ちょうど、ラーメンに入れてもよさそうな魚肉ソーセージを見つけた。野菜は一切冷蔵庫には入っていなかった。普段から料理をしないので当たり前だった。それでも、何か野菜を入れたかった。
しょうがいないので、魚肉ソーセージを手でちぎって、投入した。しばらくして、沸騰するお湯の中に、麺を投入する。1分ほど経って、粉末を入れていく。豪華ではないが、おいしそうなラーメンが出来上がった。
散らかったテーブルにスペースを開けて、タオルを置いて鍋のまま置く。床の物を足で払って、座った。小さい声で「いただきます」と呟いて、箸で麺をすすると、喉越しが良かった。空きっ腹に食べるラーメンは、やっぱり格別なものだった。ラーメンの塩味がしみ込んだ魚肉ソーセージが、また美味しかった。ここに、卵があればなと少し後悔もよぎってしまう。窓の外から、いつしか雨音が聞こえてくる。冷蔵庫から、酎ハイの缶を取り出して、グイグイと飲んでいく。
たまにはあってもいい気がする、真夜中の至福な時間。その時間を一登は1人で酔いしれた。
<完>
真夜中の至福な時間 一色 サラ @Saku89make
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