49. 表記ゆれ、誤字
ファンタジー小説で頻出する、誤字、誤用、表記ゆれなどを取り上げる。主に再掲。
◇誤字、誤用
◆てきせい
(誤)適性レベル→(正)適正レベル
(誤)適性価格→(正)適正価格
(誤)適性に試験が行われる→(正)適正に試験が行われる
(誤)魔法適正、火属性適正→(正)魔法適性、火属性適性
(誤)職業適正→(正)職業適性
(誤)xxに適正がある→(正)xxに適性がある
就職の(誤)適正試験、適正診断、適正検査→(正)適性試験、適性診断、適性検査
(誤)適性MOB→(正)敵性MOB
製品が規格に適合してるか調べる→適正試験、適正検査
その職業に向いている→適性職業
神の名の元にその仕事が正しい→適正職業
適正は適切で正しいこと。
適性は適している性質があること。
敵性は敵っぽいってこと。
◆まほうじん
(誤)魔方陣→(正)魔法陣
魔方陣は数字が縦横ともに1から9になるマス状になるやつのこと。
魔法陣は魔法の文様が浮かんだもの、および紙にそれを書いたもの。
ただし、魔法であっても数字が並んでおり、線が長方形をしていて、魔法陣でかつ魔方陣である場合があるので、一概に魔方陣が間違いとは言い切れない。
◆じょうたいいじょう
(誤)状態以上→(正)状態異常
◆ろてん
フリマのお店……(誤)露天→(正)露店
露天は屋根がないこと。露天風呂。露天掘り。
露店は屋根や壁がない、建物外にあるお店のこと。屋台やゴザを敷いたフリマ売りなどが該当する。
露天だけだとお店という意味はない。
しかし「露天商」は「天」の字を使うのが一般的。
◆かじ
鍛冶(にすい)……正解。鍛冶師、鍛冶職。
鍛治(さんずい)……主に地名、固有名詞などに使用。
通常、職業の刀鍛冶は「鍛冶」と書く。
◆こうしゃく
公爵……おおやけこうしゃく
侯爵……そうろうこうしゃく
◆こう
侯――侯爵、諸侯、王侯貴族……人偏の右に縦棒がない。
候――候補、天候、気候、兆候、斥候、居候、
「そうろうこうしゃく」(侯爵)ですが「そうろう」は「候」の字なので注意。
◆た〔みんぞく、げんご、ぶんか、こく、こくごetc〕
他民族、他言語、他文化、他国、他国語……他の。他民族による脅威。他文化への理解。
多民族、多言語、多文化、多国、多国語……複数の。多民族国家。多文化共生。
◆こみゅしょう
(正)コミュ障……コミュニケーション障害の略。
(誤)コミュ症……症候群、症状ではない。固有名詞を除く。
◆魔道具、魔導具
表記ゆれ。作品内では統一か使い分けを。
◆しんたく
神託……神のお告げ。
信託……投資信託。資産運用。
◆ないぞう
内蔵……内部に搭載。機械、魔道具。
内臓……五臓六腑。お腹の中身。
◆れき
暦……こよみ。新暦、旧暦、西暦、太陽暦、太陰暦、王国暦
歴……歴史、経歴、歴然、歴戦、学歴、彼女いない歴、逮捕歴、犯罪歴
オリジナル年号の「シリアリーズ暦345年」みたいなのは暦。
◆AGI
敏捷[びんしょう]……アジリティ。AGI。正確で素早い。
俊敏[しゅんびん]……クイックネス。とにかく素早い。
◇表記ゆれなど
カタカナ語には基準となる文書の告示がある。
「外来語の表記」という題名のもので、興味があれば検索するとよい。
◆トロール/トロル
このような、伸ばす伸ばさないの表記ゆれは多い。
どれが正解とはいいがたい。
この文書のモンスター名などは、なるべく一般的だと思われる表記を優先しているので、参考にしてほしい。
ただし主観であるので、注意。
◆ステータス/ステイタス
ステータスが一般的。
なぜかWikipediaではRPGの見出しとしてステイタスを採用しているが筆者は理由を知らない。
◆メイル/メール
鎧のことは一般的にはメイルと書き、電子メールのほうはメールと書く。
◆グレートソード/グレイトソード
一般的にはグレートと書かれるような気がする。
◆クラスメイト/クラスメート
表記ゆれ。
他、スクールメイト、ルームメイト。
◆テール/テイル
ツインテール、ポニーテールはほぼテールで一択。
しかし作品内で他の用法でテイルと混在していることがある。
◆メイド/メード
メードインジャパンなどのmadeはメードが多い。
侍女maidはメイドと書くことが一般的だが新聞等ではメードと書く。
◆ボウ/ボー
弓のほうは一般的にはボウと表記する。
◆クロー/クロウ
爪。claw。
◆コボルト/コボルド
koboldなので、英語ならコボルドなのだが「コボルト」はドイツ語読みらしい。
商業作品などでも作品ごとに異なり基準は特にないようだ。
◆ハルバード/ハルバート
HalberdだけどHalbertともいうらしい。
どちらも正解。
◆パーティ/パーティー
どちらでも構わないものの、表記ゆれ。
政府の告示ではティーパーティーの用例あり。
◆デイ/デー
dailyはデイリーになるのに注意。
◆ドア/ドアー
表記ゆれ。
告示ではドア。
◆ソファ/ソファー
表記ゆれ。
告示ではソファー。
◆ティ/ティー
tea。お茶、紅茶。
単体でティと書くことは稀だけどアップルティとかハーブティとか書くことがあり表記ゆれに注意。
告示ではティーパーティーの用例あり。
◆プレイ/プレー
表記ゆれ。
告示ではフェアプレーの用例あり。
ゲームでは比較的「プレイ」が使われる。
◆プレーヤー/プレイヤー/プレーヤ/プレイヤ
表記ゆれ。
Wikipediaの見出しはプレイヤーになっている。
ゲームでは比較的「プレイヤー」が使われる。
一方音楽再生機は「プレーヤー」が使われる傾向があるようだ。
◆ファイア/ファイヤ/ファイアー/ファイヤー
表記ゆれ。「ファイアストーム」のように連語になった場合も注意。
告示の規則ではヤとアは原則アになるためファイアになるはず。fireであり-erなどではないので長音も不要だと思われる。
◆ダイア/ダイヤ
ファイア同様ダイアモンド、ダイアモンドダストなどもあり。
告示では規則の例外としてダイヤモンドの用例あり。
◆バリア/バリヤ/バリアー/バリヤー
表記ゆれ。
◆ヴァンパイア/ヴァンパイヤ/バンパイア/バンパイヤ
表記ゆれ。
◆エキストラ/エクストラ
表記ゆれ。
◆サンドイッチ/サンドウィッチ
表記ゆれ。
告示ではサンドイッチの用例あり。
◆アイデア/アイディア
表記ゆれ。
◆ウィスキー/ウイスキー
◆ウィンク/ウインク
◆ウィング/ウイング
◆ウィンディー/ウインディー
◆ウィンド/ウインド
◆ウィンドウ/ウインドウ
◆ウェア/ウエア
◆ウィーク/ウイーク
◆ウェイター/ウエイター
◆ウェイトレス/ウエイトレス
◆ウェディング/ウエディング
◆ウェポン/ウエポン
◆ウェルカム/ウエルカム
大文字小文字系の表記ゆれ。
etc...
◆グノーム→ノーム
gnome。gは発音しない。
◆スウォード→ソード
sword。wは発音しない。
◆クナイト→ナイト
knight。kは発音しない。騎士。
夜のほうはnightなので注意。
◆クナイフ→ナイフ
knife。kは発音しない。
◇誤字
◆スタンピード
stampede。ピとドに注意。(誤)スタンビート→(正)スタンピード。
◆インベントリー
inventory。(誤)イベントリー→(正)インベントリー 。
◆ベット/ベッド
ベットはbet。賭け事でお金を賭けること。
ベッドはbed。寝台。
◆バック/バッグ
バックはback。後ろ。
バッグはbag。袋。
背負い袋のバックパックはbackpack。
(誤)マジックバック→(正)マジックバッグmagic bag。
(誤)アイテムバック→(正)アイテムバッグitem bag。
紅茶の茶葉が入っている袋は(正)ティーバッグtea bag。
◆ドック/ドッグ
ドックはdockは船を造船、修理する場所。人間ドックはこっち。
ドックはdoc。ドキュメントの略。ドクターの略。
ドッグはdog。犬。ホットドッグhot dog。
(誤)ワイルドドック→(正)ワイルドドッグ。
(誤)ホットドック→(正)ホットドッグ。ただしドイツ語ではホットドック。
◆スチュワート/スチュワード
Stuart、Stewart。スチュワート。苗字。
Steward。スチュワード。執事。
◆ビッグ
big。(誤)ビック→(正)ビッグ。
◆インゴット
ingot。(誤)インゴッド→(正)インゴット。
godゴッドに引きずられがちだけどゴット。
◆バレット
bullet。(誤)バレッド→(正)バレット。
弾丸は日本語のカタカナ語では主にバレットという。
同じ単語にはビュレット、ブレットとも読む。
◆ブレスレット
bracelet。(誤)ブレスレッド→(正)ブレスレット。
◆アンクレット
anklet。(誤)アンクレッド→(正)アンクレット。
◆タブレット
tablet。(誤)タブレッド→(正)タブレット。
◆ティーポット
teapot。(誤)ティーポッド→(正)ティーポット。
◆バイオレット
violet。(誤)バイオレッド→(正)バイオレット。
赤はredレッドだけども紫はレット。
◆アンデッド
undead。(誤)アンデット→(正)アンデッド。
◆デッド
dead。(誤)デット→(正)デッド。
◆サラブレッド
thoroughbred。(誤)サラブレット→(正)サラブレッド。
◆ブレッド
bread。パン。(誤)ブレット→(正)ブレッド。
◆ゴッド
god。(誤)ゴット→(正)ゴッド。
◆ブラッド
blood。血。(誤)ブラット→(正)ブラッド。
◆キューピッド
cupid。天使。(誤)キューピット→(正)キューピッド。
◆ピラミッド
pyramid。(誤)ピラミット→(正)ピラミッド。
◆ハイブリッド
hybrid。(誤)ハイブリット→(正)ハイブリッド。
◆中黒・の有無
「ファイア・ストーム」とするか「ファイアストーム」とするかなどの表記ゆれもある。
◇宗教等のタブー
世界では日本よりも宗教的記号への圧力は相当高い。
そもそも宗教的マークをその宗教を表すこと以外に使用すること一般がよくないとされるようです。
その宗教当事者、他の宗教を信仰している双方にとって、印象が非常に悪いです。
またフランスではそもそも宗教的シンボルを公共の場で表すことがノーマナーとされているそうです。
◆赤十字
赤十字社の記号であり、日本でも法律でみだりに使用することを禁止されている。
ただの病院や救急車に赤十字を使うのは誤り。
赤十字病院などにかぎり赤十字のマークを付けることができる。
自衛隊の衛生部隊でも使用する。
一般的な救急車は代わりに青い蛇と杖のスターオブライフというマークを使っている。
赤十字と同様に赤新月、赤盾マークも同様の意味を持っている。
◆ハーケンクロイツ、鉤十字、逆卍
いわゆる逆卍はもちろんナチスの象徴であるため、ドイツでは法律で厳しく禁止されている。
逆だけでなく、普通の卍も通常は避けたほうが無難。
◆十字
十字はキリスト教のシンボルで、その使用は非推奨だ。
異世界の架空の宗教では「十字を切る」ではなく「聖印を切る」と書き換えを推奨。
◆ケルト十字
十字の中心に円を重ねたようなマーク。
白人優越主義やファシストがシンボルとして使用しているため、強く非推奨。
◆六芒星、ダビデの星
六芒星のうちダビデの星は、イスラエル、ユダヤ教、ユダヤ人のシンボル。
ナチスのホロコーストの象徴ともされる。
日本の漫画業界やテレビでも規制の対象とされているらしい。
◆五芒星
五芒星もキリスト教やフリーメーソンに関係があり、非推奨。
問題ないとされるケースもあるものの、規制対象とされる場合もある。
八芒星やその他の図形を推奨。
☆←このように交差せず輪郭だけのものは問題ないとされる。
◆ルーン文字
近年ネオナチがシンボルにしているため非推奨とされる傾向にある。
◆SS
SSランク、SS(サイドストーリー)など日本語では頻出する。
世界的にはWikipedia英語版SSの項目の一番上に特筆されるように、ナチスの親衛隊を意味するため、NGワードだったりする。
特に意味がないのであれば「SSSランク」等にしよう。
◇言い換え
このリストにあるからといって、書き換えなければならないという意味ではない。
こういうこともあるよ、という程度として上げた。参考程度にどうぞ。
◆小人(こびと)→ドワーフ、ハーフリング
差別語とされる。
◆ホビット→ハーフリング
版権。
◆エント→トレント
版権。
◆リッチ(lich)→ノーライフキング、ヴァンパイアロード
版権。
リッチー(richie/遊戯王)などの表記もあり英語だとスペルが違う。
ノーライフキングも元が小説のタイトルなので微妙ではある。
◆ボウガン→クロスボウ
商品名、社名。元登録商標。
◆バスターソード
→片手半剣:バスタードソード
→大きな大剣:グレートソード
FFの固有名詞。
◆ヒューマン→ヒューム
ポリコレ(?)。
◆デミヒューマン→デミヒューム
ポリコレ(?)。
◆ダークエルフ
黒人差別だという主張も一部でなくはない。
以前のニュースではダークエルフではなくブラックフェイスが問題だった。
ここでは詳しい追求、検証は避ける。
◆リザードマン→リザードフォーク
ポリコレ。
◆マーマン→マーフォーク、サハギン
女性はマーメイド。
女性を指してマーマンとはあまり言わない。
マーフォーク、サハギンは男女の別なく使える。
ポリコレ。魚人。半魚人。
◆ソードマン→ソードファイター
ポリコレ。剣士。
◆ウェア*、ワー*(were)→セリアン、*アンスロープ
ポリコレ。
wereは本来成人男性、人間の意、manに同じ。女性はwife。
そのためウェアウルフはしばしば狼人間ではなく狼男と訳された。
ただしワイフウルフ等とは言わない。
獣人のことを指したいならポリコレ的には、ウェアよりもセリアンという。
英語圏ではケモナー系の獣化を「アンスロ/anthro」という。
何何アンスロープという言い方はギリシャ語の合成で、単に獣人という意味以外に「獣憑き」つまり人間が獣化するような場合のニュアンスも含んでいる。
なおあまり一般的ではない語なので、カナ表記の揺れが激しい。
獣人はセリアンスロープ(therianthrope)。
人狼、狼獣人、狼人間はライカンスロープ、リカントロープ(lycanthrope)。
犬人、犬獣人、犬人間はサイナンスロープ(cynanthrope)。
ダンまちで犬獣人はシアンスロープ(chienthrope)。
猫人、猫獣人、猫人間はアイルランスロープ(ailuranthrope)。
◆ウェア、ワー→*ピープル、*レイス、*フォーク、*リング
アンスロープは狼男のように、個体、個人を指すことができる。
こちらは主に種族化されている場合に用いる。
猫妖精はケット・シー。犬妖精はクー・シー。
キャット・ピープル、ドッグ・ピープルという。
種族を表すレイス(race)が使われることもある。
なお幽霊のレイスはwraith、競争やレース編みのレースはrace。
キャットレイス、ドッグレイス、ウルフレイス。
リザードフォークのようにフォーク(folk)も使える。
食器、農具のフォーク、分岐のほうはfork。
キャットフォーク、ドッグフォーク、ウルフフォーク。
地球人をアースリング(earthling)、小人をハーフリングというように、キャットリング、ドッグリング、ウルフリングといえる。
なお、ビジネスマンをビジネス・パーソンにするからといっても、キャット・パーソンは猫人だけでなく「猫好きの人」という意味だったりもする。
以下、ポリコレ的差別語、不快語。
◆奴隷、スレーブ
ポリコレ
◆ご主人様、あるじ、マスター
ポリコレ
◆ホワイトリスト→アローリスト
ポリコレ
◆ブラックリスト→ディナイリスト、ブロックリスト
ポリコレ
たまにdenyはデニーリストとも書くがより正確にはディナイらしい。
その他広く善悪で「ホワイト/ブラック」と呼び分けたり、ブラックを邪悪などの意味で使用するものは引っかかる。
ブラックエルフ、ブラック企業、ホワイト企業、ブラックバイト、ホワイト国、等。
◆肌色→ペールオレンジ、ベージュ
日本における肌色は言い換えが推奨されている。
◆ダミー
口がきけない人の意。
差別語的。
偽物の標的物のことはデコイと言い換えられる。
◆サラリーマン→オフィスワーカー
ポリコレ
◆メイド→お手伝いさん、ハウスキーパー
ポリコレ
◆下女、下男→お手伝いさん
ポリコレ
◆女中→お手伝いさん
ポリコレ
◆ウェイトレス、女給、給仕→サーバー、ウエイトスタッフ
ポリコレ
◆(ナース)
これはポリコレ対象ではない。
男性を含む表現にも使用可能。
◆女工→女性従業員
ポリコレ
◆人夫→作業員
ポリコレ
◆鉱夫、炭鉱夫、坑夫→鉱員
ポリコレ
◆百姓、農夫→農民、農家
ポリコレ
◆漁夫→漁民
ポリコレ
◆浮浪者→ホームレス→路上生活者
ポリコレ
◆乞食→物乞い
ポリコレ
日本では乞食は犯罪行為なので職業「乞食」は存在していないということになっている。
◆スラム→貧民街
ポリコレ
◆外人→外国人
ポリコレ
◆処女作、処女航海、処女峰→初作品、初航海、未踏峰
ポリコレ
◆
ポリコレ
ファンタジー初心者用語解説 滝川 海老郎 @syuribox
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