「食う者」と「食われる者」が共に生きる難しさ。

 八神は「竜追い」という職についていました。竜を狩って、肉を食べ、骨などは薬などにするなど、竜を余すことなく使っていたわけですが、竜を狩ることを嫌悪するイサナという少女に出会ってから、それを辞めてしまうのです。

 八神はイサナと共にいるようになってから竜追いを辞めましたが、「竜追い」という職種自体はなくなりません。竜を狩ることによって収益を得ている人もいますし、生かされている人もいるからです。

 この物語では、八神とイサナが竜の骨を使った薬を作る親子と出会う話が描かれていて、複雑な思いがあります。親子には罪はありませんし、彼らと距離を取るような態度を見せるイサナに対しても寛容で優しいのです。その優しさに触れたイサナの複雑な気持ちはいかほどのものだったでしょう。

「食う側」と「それを否定する側」が歩み寄り理解される日が来るかといえば、とても難しいことでしょう。それでも模索し続ける生き方を選んだ八神とイサナ。二人が選んだ答えとは――?