第115話 ガンテツファクトリーと秘められた素質

 沖縄から飛行機で大阪空港に向かい、そこからリニア新幹線で京都に移動した、この移動だけでも3時間ほどで着いてしまう、凄いな近未来。


 ガンテツファクトリーに着くと、以前も受付してくれた作務衣さむえ姿の若槻さんが対応してくれた。


「凄いね、君達!1か月でほぼ素材が集まってるやん!マスターも中で待ってるよ?なんでもジェノサイダーの素材をどう使うか悩んでるみたいやわ!」


 若槻さんに案内されて屋敷の中の事務所に着くと、奥から大男がいそいそと出てきた、マスターだ。


「よぉSランク、がんばっとるな!あとはハワイだけやん、たいしたモンや!」


 マスターが大きな手で俺の背中をバンバンと叩く、これが地味に痛い・・・


「・・・俺だけじゃなく、皆もAランクになりました」


「そうやな、まあジェノサイダーを複数討伐したんやから当然やろ、丁度相談したいことがあったんや」


 そこから、カムイトモシリでのジェノサイダーの素材などで追加のオーダーが対応できるようになったこと、俺がSランクに、皆がAランクになったことで再度適性を確認したほうが良い事など、どれも俺達にとってはありがたい申し出だった。


 再度の適性検査か、ありがたい、今回は『風斬り』清音が居ない事から女性陣は適性を図る機械を頭に装着することになった、どうやらマスターがアンナの適性を図ろうとした時にここで大暴れし、急遽探索者協会と協力し作成したらしい。


 俺と翔は前回と同じく、マスターに身体中をまさぐられ、調べられることになった。

 良いタイミングなので、俺の適性調査の時にマスターに聞いてみることにした。


「・・・あの、スキルではない剣技が使えるみたいなんですけど・・・」


「ほほぅ?どんな感じの技なん?」


「・・・集中して剣先に意識を込めると属性付与が強化されたり、信じられないくらい、よく斬れたり・・・」


「それ、『剣聖』のスキルに似てるな、恐らく世界中で唯一の上位ジョブを持つ『剣聖』と似たようなスキルか、じゃあ刀に関してはソレも想定した強化をせんとなぁ」


「・・・上位ジョブ、ですか?」


 以前ここに来た時もカミラちゃんがそんな事を言ってた記憶があるが、ゲームではステータスを上げることで様々なジョブに変更は出来たが、上位ジョブというのは知らないし、赤城宗也の記憶でもそんな情報はない。


「ああ、Sランクなら知ってても問題ないやろ、『剣聖』のジョブは剣士の上位ジョブ、サムライや、お前と違って魔法は使えんけど、ほぼあらゆるモンを斬ることが出来る」


『剣聖』、『風斬り』清音の師匠でもあり、日本で最初のSランク探索者でもある緒方一刀斎、老人ではあるが最強、そして、サイバーダインラボ側の人間だ。

 ゲームでは仲間にはならない、そして翔の敵として赤城宗也おれとともに立ちふさがる事になる。


「いっぺんレオにも相談してみたらどうや?もしかしたら上位ジョブに就けるかもしれんぞ?」


 そうだな、ハワイに行く前に安藤協会長にもう一度会って相談してみよう、あと、そろそろサイバーダインラボ対策も真剣に考えないとダメかも。


「・・・ありがとうございます」


 その後、皆の装備の強化方針をマスターと議論した後、俺達はあわただしく京都を後にした。


「ハワイに行く前に協会本部に行くんですか?」

「じゃあ、一度自宅にも帰れますね、時音ちゃん呼んで女子会しようかしら」

「それじゃあ、私の家にしない?独り暮らしだから気兼ねしなくていいわよ?」

「あら?私も行っていいかしら?」


 どうやら女性陣はソランの家で女子会をするらしい。

 翔が捨てられた子犬のような表情でこっちを見てくる、仕方ないな。


「・・・じゃあ、翔は俺の家に泊まるか?」

「ハイッ!ありがとうございます!!!」


 まあ、たまには男女別れて楽しむのもいいだろう。






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