第7話 俺としての考え
赤城宗也の身体だが、中身は大木宗也そのものだ、コボルドの解体で吐き、殺気にビビる、そんな人間だ。
ハイスペックボディの赤城宗也ならこのままそっとこの場を離れることも可能だし、助けることも可能だろう。
大木宗也としては女性に対してはかなり苦手意識があるので助けるために声を掛けることがまずハードルが高い、でもこのままじゃ男が斃されてそのまま全滅という流れしか見えない。
「ダメだ!お前達だけでも逃げろ!」
「逃げ切れると思えないわ!支援強化のスキルを使うから何とか頑張って!」
「無理にスキルを使うと脳にダメージを受けて後遺症が残るって言われただろ!ダメだ!」
「でも・・・」
男と支援スキル持ちらしい女が2人の世界を作っている、他の2人の女達は相変わらず慣れない弓でワーウルフを牽制している。
というかスキル使い過ぎるとそうなるの?後遺症怖いね・・・
若干どうでも良くなりそうだったが、意を決して声を掛ける。
「てっ!手助けは必要か?」
女たちが一斉にこちらを見て顔を赤らめる、男はワーウルフの爪攻撃を盾で防ぎながらも俺に睨みつけている。
「すみません、助け「いらねぇ!」」
「「!?」」
女の一人が返事をする途中で男が遮る。
女達が赤城宗也のイケメンフェイスに反応したせいで男が意地になったみたいだ、どうしようかな?帰っていいかな?
でもたぶん、このままだとワーウルフの方が勝ってしまうよね?
男がジワジワとワーウルフに押され始める
・
・
・
もう、どうでもいいや。
フッ!
俺は無言でワーウルフのサイドに回り込み、サーベルを振いワーウルフの首を刎ね飛ばした。
「え?」
呆然とする男
シーンとなる探索者達
特に頑張っていた男の方は斃れたワーウルフの死体をボーっと眺めている、このまま1時間くらい放置したらダンジョンに吸収されちゃうんだよな・・・
「素材はお前たちにやる、じゃあな!」
俺は踵を返すとそのままダンジョンの出入り口まで駆け出した、経験値の横取りにはなっちゃったけど、ステータス画面がないんだから自分のレベルも判らないし、問題ないよね?
素材も置いて行ったし、恨まれないよね?
ワーウルフの魔核はボスだけあって買取5000円だし、毛皮が剥ぎ取れるんなら3万円程度の収入にはなるはずだし、大丈夫だよね?
命懸けで精々5万円程度の収入にしかならないって世知辛いな。
まあ、中難易度や高難易度ダンジョンの素材はその分高価なので、そこらのサラリーマンより高収入になるんだけどね。
無事に出入り口のゲートを抜けたあと、ゲートの横に装備を洗浄する設備とシャワー室がある、探索者は無償で利用出来るのでそこで身体と装備を綺麗にするが、俺は返り血は殆どない、だけど解体をするので小手やサバイバルナイフが血脂でベトベトなので念を入れて綺麗にする。
協会支部の窓口に探索完了と魔核の買取を伝える。
今回はオーク9匹、コボルド15匹、ゴブリン8匹の魔核を提出し、1万6千円の収入になった、良し、このまま居酒屋にでも行こう。
ちなみにこの世界は16歳で成人扱いなので、酒も飲める、というか赤城宗也は酒が大好きだ、大木宗也としてはあまり好きじゃないんだけどね。
嫌なことは酒で流して忘れよう!
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