第2話 名前は同じなんだけどあんまりだ!

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 見知らぬ天井だ、いやマジで・・・


 俺の住んでる安アパートの天井はもっと染みがあってそのうちの一つが顔みたいで怖いという、いやいや、そんなこと考えている場合じゃない。


 たしかグラディアスを初めてすぐに頭がクラクラして、その後???


 ってことはここは病院?


 俺はベッドから起き上がり周りを見回す、きれいに整頓されているが、物が少ない部屋だ、大画面のテレビとローテーブルにクローゼット、いま俺の寝ているベッドもそれなりに高級だ、安アパートの布団とは全然違う。


 あきらかに病院でもない、間取りは贅沢な1LDKといったところか?


「なんで?」


 思わず独り言が漏れ、ふと気づく、俺全裸だ・・・

 履いている感触がない・・・


「エ???ナンデ?なんで裸?」


 思わずベッドから起き上がり違和感に気付く、視点が高い。

 俺の身長は165cm、明らかにそれより20cmは視野が高い気がする。


 そして自分の身体、こんな引き締まった身体はしていない、アラサーということで少し筋トレとかはしてたけど、見事なシックスパックに腕や太ももの筋肉、こんな細マッチョは俺の身体じゃないし、俺の息子はこんなに御立派アナコンダじゃない、いったいどうなってる?


「鏡は、洗面台に行けばあるか?」


 俺はそろそろと洗面台に向かって歩き出す、全裸だけどクローゼットの他人の服を着るのもなんだかな・・・って感じだし、急に誰か出てきたら盛大に悲鳴を上げる準備も出来ている。


 そして、洗面台で鏡に映された自分の上半身を見て絶句した・・・


 赤茶の髪に鋭い目つき、忘れもしないこの顔、グラディアスのプレイヤーに散々恨まれ、裏設定が公開されると共に同情を集めた闇墜ちライバルキャラ、赤城宗也だ。


 俺は赤城宗也の顔をペタペタと触る、この感触は間違いなく俺の顔だ、でも俺は赤城宗也?


 その瞬間、俺の脳内に幼少の頃からの記憶が奔流のように流れ込んでくる、父は実業家で家はそこそこ裕福と言える環境に一人息子として生まれ、9歳の頃、世界中にダンジョンが出現した。


 ダンジョンには恐ろしいモンスターがいるがモンスターの素材が世界のエネルギー問題を解決し急速に発展、俺はそんな環境で私立の小学校、中学、高校と進み今はこの国で最高の大学と言われる大日本帝都大学の大学生をしながら、探索者としてソロでダンジョンに潜っている、そう、俺は、赤城宗也だ。


 ・・・いやいや、俺はさっきまで自宅の安アパートでゲームを楽しもうとしていた大木宗也だ!


 宗也、名前が一緒だけど、まさかそんな理由でグラディアスの世界に入ってしまったのか?


 というかこの状況って転移なのか転生なのか、どっちなんだろう・・・





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