KAC20223 奥様の第六感はだんな様専用隠しごと発見器!

綾束 乙@8/16呪龍コミック2巻発売!

だんな様は奥様に隠しごとができない


 あれはまだ、いまの家に越してくる前のこと。


 当時、ファミリー向けの賃貸マンションに住んでいたのですが、子どもがまだ小さかったこともあり、また二人とも本の量(主にだんな様のマンガ)がすごかったこともあり、一室を本部屋にして、壁際にずらりと本棚を並べておりました。


 が、それでも入りきらずに、床には本が平積みで……。

 何というかもう、すぐに使わないものなんかはとりあえずその部屋に入れるという、半ば物置と化しておりました。


 が、主としては本棚なので、読みたい本があるたびに入るわけです。


 リビングダイニングにも本棚を二本置いていて、そちらは主に私の本を置いていたので、本部屋を使うのはおもにだんな様でしたけれど。


 とある秋の日のお休みの日。だんな様のマンガを借りて読もうと、たまたま本部屋に入ったら……。


 雑然とした部屋の片隅に置かれていたあるモノが、妙に気になったのです。



 何だろう、この小包? と。



 思いついたらすぐに口に出しちゃうのが綾束の浅はかなところ。


 ええもう、聞きましたよ、ふつーに。


「ねぇ、だんな様。この小包なにー?」と。


 途端、居間から聞こえてくるだんな様のなんとも表現しがたい叫び声。


「なんでそれ聞くの?」


「え……? なんかみょーに気になったから……。ねぇ、これ何?」


 わざわざ小包を手に、居間に戻ってもう一回尋ねる奥様と、滅茶苦茶顔をしかめるだんな様。


「なんで……っ!? なんでいまさぁ、ピンポイントでそれを見つけるわけ!? しかもわざわざ持って来て突っ込んで聞いてくるし……っ!」


「???」


 やるせない表情で責められても、わけがわかりません。


「……ちょっと早いけど……。はい」


 だんな様が小包を差し出します。


 え? あの、この宛名、だんな様の名前ですけど?


「せっかくサプライズでプレゼントしようと思ってたのに……っ」



 なんと、小包の中身はだんな様が奥様の誕生日のために内緒で買ってくれていたサプライズプレゼントだったのです!(笑)



 それをなぜか見つけてしまい、さらには問い詰めた奥様。


 そりゃあだんな様が不機嫌になっても仕方がないですね(汗)


 ちなみに小包の中身は、古代ローマ好きの綾束が喜ぶようにと、共和政時代のデナリウス銀貨でした!


 いや、ほんとごめん……。悪気はまったく全然なかったんです……っ。



 ちなみにこの話、未だに時々蒸し返されます(笑)


 だんな様いわく、奥様は見つけてほしくないものに限って、なぜか見つけて、悪気なくツッコむらしいです。


 いや、そんなこと言われても!(笑)


 奥様としては、だんな様が無意識に念波を送ってるんだと主張したい!(笑)


 だんな様いわく、最近は、だんな様が頭を撫でてほしそうだったり、膝枕してほしそうだったり、ハグしてほしそうなタイミングを読んでるらしくて。


「なんでわかったん!?」


 って驚かれるんですけど、だって、なんかしてほしそうな動きしてたじゃん!


 それかだんな様が念波を飛ばしてたに一票!



 でも、どうやら私からもだんな様に念波を飛ばしているらしくて、


「あー、なんかアイス食べたい……」

「あ、私も~!」

「ちょっ! 自分が食べたいからって俺にまで念波飛ばすのやめて! 俺いま甘いもの控えてるんだから!」

「飛ばしてないもん!」


 とか、


「ふんふふーん~♪ ふふん~♪(鼻歌)」

「えっ!? だんな様、なんでいま私が脳内で歌ってた曲を歌い出すの!?」

「いやこれ、きみの念波受信したせいだから。勝手に飛ばすのやめてくれる?」

「だから飛ばしてないってば! あ、でも鼻歌うたってるだんな様も可愛いんでそのまま歌っててください」

「やだよ! むしろ俺がきみの鼻歌聞きたいっ!」

「やだっ、私だって恥ずかしいっ!」


(でも、料理中によく無意識に歌っているらしいです……)


 なんてやりとりをよくしております(笑)



 ……あれ?

 途中から第六感の話じゃなくて、念波の話になってしまった……(笑)


 でも、世の奥様方の多くはきっと、だんな様や子ども専用の第六感を装備してらっしゃいますよね~?(笑)


                               おしまい

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