期待はずれと蔑まれ、厄介払いのように北の辺境に住む魔霊伯爵の元へ嫁ぐことになった聖女レニシャ。とにかく真っ直ぐで一生懸命な彼女と、孤独を抱えた魔霊伯爵のハートフルストーリー。
最初ツンツンな伯爵さまの心が、レニシャの素朴で優しい心に動かされるのにそう時間はかかりません。彼らを取り巻く人たちも(一部を除いて)みんないい人。そんな北の辺境領の毎日はとてもぽかぽか暖かい。
ただね、二人とも無自覚なもんで焦れるんですわ! 後半の無粋な横恋慕にも負けず、二人は「聖婚」を無事成し遂げることができるのでしょうか。
話のテンポも良く、さくさくと読める王道な恋物語です。
癒しの力を持つはずの聖女でありながら、何故か力を使えず期待外れと蔑まれる聖女レニシャ。
彼女は恐ろしいと噂される魔霊伯爵のヴェルフレムに嫁ぐよう、大神官から言い渡されます。
魔霊伯爵。それは何百年の時を生き、人間よりもずっと大きな力を持つ、恐れられる存在。
神殿は役立たずのレニシャを、そんな魔霊伯爵ヴェルフレムに押し付けようと考えたわけですね。
いや、やめろよ! レニシャは悪いことをしたわけじゃないのに、そんな恐いやつのところに行かせるなー!
ああ、なんて不憫なレニシャ。
しかーし、もちろんそれだけでは終わりません!
このレニシャ。実にいい子で、来た以上はヴィルフレム様の役に立ちたいと、健気に頑張ってくれます。
当初は神殿から遣わされたレニシャをよく思っていなかったヴィルフレム様も、次第にそんなレニシャに惹かれていき……溺愛パート突入!
そうなったらもう、糖度が上がる一方。途中、二人の中を引き裂こうとする性悪女やヤンデレ人外さんも出ますが、レニシャとヴィルフレムの絆が、お前らなんかに負けるかー!
悩んだり、すれ違ったりしながらお互いを知り、少しずつ仲を深めていくファンタジーな恋物語。
甘々なお話、イケメンからの溺愛、健気な女の子が好きな人におすすめです。
聖女として有望視されていたものの、聖なる癒やしの力を使えず「期待外れ」と言われてしまったレニシャ。そんな彼女に言い渡されたのは、魔霊と呼ばれる人外の種族、ヴェルフレムの元へ行き『聖婚』を執り行うことでした。
そんな本作、敵だの嫌な奴だのがたくさん出てきます。
事ある毎に嫌味や蔑みの言葉を投げかけてくる神官スレイル。
ヴェルフレムと同じく魔霊であり、彼に歪んだ愛を向けるレシェルレーナ。
そして、先代の聖女でありながら役目を放棄し、なのに悪びれもせず戻ってきてはやたらとマウントをとってくるデリエラ。
揃いも揃ってろくでもない奴らです。
そんなのばっかりだと、読んでいて嫌〜な気分になるのではないか。なんて思った方がいましたら、安心してください。心配ご無用です。
物語において敵だのヘイトキャラだのといったものは、主人公たちがそれを跳ね除け幸せになるための、超えるべき障害です。そしてこの作者様、その辺のさじ加減がとてもお上手。
例え嫌や奴が出てきたとしても決して嫌な気分にはならず、何より、障害があるほどレニシャとヴェルフレムの絆は強くなる。
お互いの良さを少しずつ知り、二人が惹かれ合っていく姿がとても丁寧に、そしてとろけるような甘さをもって書かれています。
こんな二人なら、いつかハッピーエンドになれるはず。そんな未来への期待を抱きながら、気づけば読むのがやめられなくなっているはず。
マジかよ、って思いましたね。
綾束さんマジか、って。
カクヨムコンに新作2つもぶっ込むなんてマジかよ、って。
この他に連載2つ抱えてんのに(さらにエッセイもあるよ!)、マジかよ、って。
だからね、さすがの私も多少自重した方が良いのかな、って思ったわけです。コメントとか控えた方が良いのかな、って。綾束さん律儀にきっちりお返事くれるしな、って。一応ね、私も大人なので、少し控えようかなって思いつつ読み始めたわけですが。
駄目でしたね。
そんな我慢出来るお話じゃなかったですね。
どうなってんだ。こっちもこっちで甘々でじれじれとかどうなってんだ、って。
期待外れなんて言われ続けた聖女のレニシャがね、もう、言われ過ぎてもう可哀相なくらい自己肯定感が低くてね、それだけに自分が出来ることに関してはもう全力なんですよ。
こんなの愛されるでしょ!
誰って?!読者に!主に私に!
まぁ私に愛されても仕方ないんですけど。
そんなレニシャのお相手となるのが魔霊であるヴェルフレム様。魔霊ですからね、もう全然恐ろしい感じの『THE魔物』なヴィジュアルかと思いきや!はい!タイトル注目!『美貌』!キタ!美貌!イケメン!ヒューッ!
この二人がこれからどんな愛を育んでいくのやら、ってもうニヤニヤですよ!
幼き頃、神殿から大いなる期待をもって聖女として育てられたレニシャは、大きくなるまで才能が開花することはなかった。
聖女は魔霊と『聖婚』する役目がある。
しかし『聖婚』を申し出る聖女は数少ない。
レニシャは「畑仕事がしたい」という理由で、『聖婚』を買って出た。
そうして訪れたラルスレード領を治めるのは炎の精霊であるヴェルフレム伯爵だった。
魔霊といえども普通の人間と同じように接してきたレニシャに、ヴェルフレムは悪からぬ印象を受ける。
果たして『聖婚』とはなんなのか。
どうして魔霊に聖女をあてがわなければならないのか。
謎を含みながらも、土いじりが大好きな聖女と、それをそばでサポートする炎の精霊との、ハートウォーミングな日々が繰り広げられます。
書籍化作家綾束乙様の新作がやって参りました♬
魔霊伯爵のヴェルフレム様は、聖婚のために使わされてきた聖女レニシャちゃんにあっという間にメロメロな感じです。
でも、ヴェルフレム様は無自覚です。無自覚でツンデレ溺愛してます。
対するレニシャちゃんは、農業に一生懸命で他の欲も無く、とっても純粋で健気な可愛い子。その純粋さが、ヴェルフレム様の凍った心を溶かしていくのですね!
じれじれの溺愛ものなのですが、もう毎回キャーキャー言ってニヤニヤしちゃいます。派手なラブシーンがあるわけでもないのですが、その描写以上に心がときめいて純粋な愛というものの尊さを感じます!
物語の中でくらい、イケメンに溺愛される夢を見たっていいじゃない。
素敵なお話です。オススメです!