期待外れの聖女は愛を見つける

聖女として有望視されていたものの、聖なる癒やしの力を使えず「期待外れ」と言われてしまったレニシャ。そんな彼女に言い渡されたのは、魔霊と呼ばれる人外の種族、ヴェルフレムの元へ行き『聖婚』を執り行うことでした。

そんな本作、敵だの嫌な奴だのがたくさん出てきます。
事ある毎に嫌味や蔑みの言葉を投げかけてくる神官スレイル。
ヴェルフレムと同じく魔霊であり、彼に歪んだ愛を向けるレシェルレーナ。
そして、先代の聖女でありながら役目を放棄し、なのに悪びれもせず戻ってきてはやたらとマウントをとってくるデリエラ。
揃いも揃ってろくでもない奴らです。

そんなのばっかりだと、読んでいて嫌〜な気分になるのではないか。なんて思った方がいましたら、安心してください。心配ご無用です。

物語において敵だのヘイトキャラだのといったものは、主人公たちがそれを跳ね除け幸せになるための、超えるべき障害です。そしてこの作者様、その辺のさじ加減がとてもお上手。
例え嫌や奴が出てきたとしても決して嫌な気分にはならず、何より、障害があるほどレニシャとヴェルフレムの絆は強くなる。
お互いの良さを少しずつ知り、二人が惹かれ合っていく姿がとても丁寧に、そしてとろけるような甘さをもって書かれています。

こんな二人なら、いつかハッピーエンドになれるはず。そんな未来への期待を抱きながら、気づけば読むのがやめられなくなっているはず。

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