よくぞ成したり! 🐬

上月くるを

よくぞ成したり! 🐬



 不詳わたくしめの推し活はリアルやバーチャル世界にあらず、歴史上の人物にて。

 それも平清盛、源頼朝、義経などスタークラスに比すれば極めてマイナーな……。



 ――安達新三郎清経あだちしんざぶろうきよつね。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ



 えっ、たれ、それ?! でござるか。🐸

 無理もござらん、名もなき武士にて。🦉


      *


 かいつまんで申せば、次のごとき天晴れな事績を残した、頼朝の雑色ぞうしきにござる。


 すなわち……一ノ谷、屋島、壇之浦と勝ち進んで平家を滅亡に追いやった異母弟・義経の実力と人望を妬んだ鎌倉の兄・頼朝が、弟の愛妾・静御前を捕えて鎌倉に連れ出し、妻・北条政子と並ぶ簾の前で、敢えて前身の白拍子に貶め舞をまわせた。👘


♪ しづやしづ しづの をだまき くり返し むかしを 今に なすよしもがな


 そのとき政子が静の妊娠に気づき、それを聞いた頼朝は、静の預け先の雑色・安達新三郎清経に「生まれた子が男子ならばおもりを付けて由比ヶ浜に沈めよ」と命じた。


 だが、どうしても人としての残酷が実行できなかった新三郎は、夜の海にまぎれて

一子を助け、あとを追おうとした静ともども、ひそかに逃がしてやった……。🐠🐠


      *


 壮大な物語には、先述のビッグスターに後白河法皇、木曽義仲、以仁王、源頼政らゴージャスな面々も加わるであろうし、一方には、公家社会に嫌気がさした宮廷の笛の奏者が野にくだり、崇徳上皇邸の名水・柳ノ水の水番をつとめたあと独学で医術・薬学を学んで、戦乱に泣く貧民を助けた阿部麻鳥、また、浮世を捨てて仏道に入った西行や文覚など魅力的なキャラクターが綺羅星のごとくおるのではあるが……。✨


 万一ことが露呈した場合の頼朝夫妻の冷血を承知で果断な工夫を図った安達新三郎清経の男気こそ、不詳わたくしめが推すに足る真のおとこの中の漢と存ずる次第にて。


      *


 ま、あれでござろう、朝の連ドラに例えれば、主役の黍之丞きびのじょうを圧倒して余りある斬られ役専門の大部屋役者・伴虚無蔵ばんきょむぞうの人間力といったところでござろうか。🎬


 ゆえに、おのおの方におかれても、こぞって安達新三郎清経を推して給も。(笑)


 


 

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