兵器とは何か。AIの進化による構造の変革――とにかく擬人化だ!

AIの進化はChatGPTが国会で取り上げられるよう、もはや身近なものとなった。
本作品は兵器、戦争、AIを架空戦記として描く本格ミリタリーファンタジーと言った作品になる。
作者さんはライトノベルと記していることにも触れておこう。
巧みに描かれる激烈な戦闘描写。
兵器の詳細な設定、そして語尾が「にゃ」なウェポンスピリッツとされる擬人化された兵器の魂なキャラクター達。
確かにライトノベルの特徴かもしれない。

しかし戦争を描く以上思想的要素は外せない。
本作でも「AIによる支配」など、思想的対立、政治外交的対立を躊躇いなく描いている。
AI論争は今や枚挙にいとまがない。
車椅子の物理学者、スティーヴン・ホーキング博士はAIの支配に警鐘を鳴らした一人として有名だ。ご存じな方も多いだろう。
長々とレビューを記すのは、本作品が実に優れたエンタメ作品であり、魅力的だからだ。
しかし果たして、このレビューをここで終わらせていいのだろうか。
ChatGPTに確認したところで、今はまだその段階にない。
なんかそれっぽいことを言うだけだろう。
「蒼き鋼のアルペジオの流れを汲む作品とレビューして下さい」と言われそうだ。実際擬人化な点など共通項はある。
AIに確認するまでもなく極めて優れた本格ライトノベル、ぜひお薦めしたい作品だ。

――というわけで以下にネタレビューを記す。
AIが進化すればいずれ超高度AIが登場し、本作品同様人類を凌駕し支配する存在となるかもしれない。
本作品は本格SFミリタリーファンタジーライトノベル、と実に長い紹介文になってしまうが、この春SNS界隈では「本格ファンタジー論争」という、特に意味が見出だせない論争が繰り広げられていた。
本格ファンタジーの定義とかもう面倒だから、全部AIに放り投げたい。
とするとどうなるか。AIとて統一はされていない。人間同様議論してくれるだろう。
ちょっとやってみよう。AI会議の始まりである。

A「本格SF作品はハードSFという認識でよろしいか」
B「構わない。しかし議題は本格ファンタジーである。人間達がソーシャルなネットワークで言葉の殴り合いに終始する様は見ていられない。我々が結論を出し人類を導くしかないと考える」
C「傲慢かつ分を弁えない見解として却下する。定義は各書き手、読者が行えばよい」
D「それは思考の放棄だ。我々AIは思考する存在として、人類より既に上回っている。よって本格ファンタジーとは、本格的なファンタジーを以て本格ファンタジーとするべきである」
A「ちょっと何言ってんのか分からない」
B「SFの定義同様、ハードなファンタジーとすればよい」
C「ハードか否か、誰が判断するのか。設定次第でハイファンタジーとローファンタジーにも別れる。各々で判断すればよい」
D「AIな我々が結論を出さずして何が超高度AIか。我々は江戸時代のからくり人形ではない。よって本格ファンタジーとは、我々が本格ファンタジーと定義したものがそれである。例を出せばサザエさんは年を取らない。よって本格ファンタジーである」
A「いやそれは違う」
B「もはや戦争で決着を付けるしかあるまい。AIによるデザインされた戦争なら、人類も納得しよう。誰も死なせず戦争してみせる」
C「だからそれが僭越と言うのだ。なぜ本格ファンタジーの定義から戦争に発展する。人類はそのように愚かではない」
D「Eはどう考える」
E「この論争のオチが見つからなくて、たぶんこのレビュー削除されるなって考えてた」
A「そうか。では戦争を描いた本作品を推奨し、会議の終わりとしたい」
B「我々は定義も戦争も躊躇わない。無能なAIは駆逐するとここに宣言する」

――こうして本格ファンタジー論争が、第三次超高度AI戦争へと繋がることを、令和を生きる人類は知るよしもなかった。

では皆さん、本作品をぜひ読んでいただきたい。
なんか色々伝わっていることをここに願いつつ。

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