流刑地でスローライフ?いいえ、己の存在意義を賭した開拓サバイバルです

素晴らしい大作を読んだ。読了した今、その思いで胸がいっぱいです。

存在や思想を異端とされ、魔界と呼ばれる未開の流刑地へ送られた人々の物語です。
この世界の基準からはみ出してしまった人々が、自分らしく生きるために踠きながら前へと進む物語とも言えるでしょう。

魔術師ペルクスと秘術で生まれた娘カモミールのW主人公をはじめ、登場人物はみな個性的で魅力的。信念も性格も追放された理由も、人それぞれです。
ペルクスとカモミールは彼らと対話し、協力し、時には拳や刃を交えて、互いの在り方を探っていくのです。

全ての人を笑顔にしたいという心優しいカモミールは、自分の信じる道を迷わず進むために、この流刑地で『聖女』となります。
誰一人同じではない人々を丸ごと受け入れる『カモミール派』の懐の深さは、多様性を尊重する現代社会の感覚にも通じ、感銘を受けました。

話が進むごとに一癖も二癖もある仲間が増えていくため、必ず推しキャラが見つかるはず。
これまで登場した仲間たちの総力をもって己の存在意義を問うクライマックスは、その迫力と情動の大きさに圧倒されます。
本当に何度も心を揺さぶられました。重厚かつ読みやすく、面白い物語です。読み応えのある作品をお求めの方におすすめします!

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