まさに心と心を結ぶ味わいでした

メガネをかけている人は、温かい料理を食べる前にメガネを外します。湯気でレンズがくもり、何も見えなくなるから。
本作に登場する鍋焼きうどんは、想像しただけでメガネを外したくなります。あふれる涙を拭うために。

大切な娘に料亭「堀川」を継いでほしいと願う和也。
いつしか絵を描くことに情熱を注ぐ一香。
夫と娘をそっと見守る清美。

それぞれの思いが伝わってくるからこそ、鍋焼きうどんの温もりがより一層沁みわたります。まさに心と心を結ぶ味わいでした。

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