川添氏の文章の美しさがグッと詰まった短編です。夕方のノスタルジーな風の匂いがしたと思うと、かまいたちがほんのり傷を付けていった気がして。読み終わると傷はない。でも確かにうすらと血は流れた。そんな印象を感じる作品でした。優しさの中に核心を突くしっかりとした刃渡りのナイフがあって、それを振るう剣筋がまた美しいといえば良いのでしょうか。ネタバレなので伏せ目に言いますが、彼の作品を初めて読まれる方は是非、この短編の「あとがき」まで読んでみてください。
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