後編への応援コメント
初めまして。「外伝の本棚」の自主企画からお邪魔しました。
タイトルに惹かれて読み始めましたが、すごく面白かったです。久しぶりにスコップ成功。大当たりです!
>僕にとっての読書は、一時日常を忘れさせるものであっても、魂の糧になるような教えを与えてくれるものではない。言ってしまえば不安を和らげる薬とかと、あまり変わらないのだ。
私自身は小説を読むことが大好きですが、「僕」の感覚に近いと思います。魂の糧とまで言えるかはわからないけど、無くなると空虚さを感じてどうしていいかわからなくなるものです。自分にとっては最大の娯楽なので。
一方で「彼女」の言うこともわかるような気がするのですよね。作者の考えや感覚に同調することは、自分が操られているのではないか、本当にこれは自分の考えなのかと疑ってしまうのかな。「彼女」は曖昧な自分の感覚に自信が無いのかなと感じました。根拠の無い他人の感覚が入り込むことで、もともと曖昧である自分が更に消えていく不安みたいなものもあるのかなと。長編がベースということなので、まったく的外れだと恥ずかしいんですけども(汗)
長くなり申し訳ありません。すとんと自分に落ちてくるようなするりと入ってくる、読みやすくとても好きな文体に興奮して、つい書きたくなってしまいました。時間は少し空くかもしれませんが、長編にもお邪魔したいと思います。
作者からの返信
丁寧なご感想をありがとうございます! もったいない言葉を沢山いただき、光栄です。
曖昧だけど無視できないことに対してどう向き合うかということが、この短編と、このあとに続く長編における一つのテーマになっているため、そういった部分に関わる感想をいただけてとても嬉しいです。頂いた感想が描いたものの核心に触れるものであればあるほど、作者が言及してしまうと正解の読み方が固定されてしまうので、お返事できることが少なくもどかしいのですが、ともかくとても嬉しかったです! ありがとうございました!
長編も手にとっていただけるとのこと、ありがとうございます! 長編ということでやはり長いのと、内容的に人を選ぶところがあるので、無理のない範囲でお付き合いいただければ幸いです。
編集済
後編への応援コメント
「ストイックな作家の集い」企画への参加ありがとうございます。
文章一つ一つに意味が込められた作品ですね。解釈の勉強になりそうで、現代文の教科書に載っていそうだと思いました。
読書に対して分析的な彼女の見解が非常に印象的でした。
作者としては読者を感動させようと思って作品を書いている部分もあり、それで実際に心を揺さぶられてしまうと、作者の思惑に載せられたような気分になってしまうのでしょうか。
作為的な感動によって、自分の基準を揺るがせたくないという彼女の気持ちは少しわかる気がします。
私も安易に感動を訴えるような作品は好まないのですが、それは世間の価値観に追従することによって、自分自身が揺らぐことを怖れているからかもしれないと思いました。
深い洞察のある作品をありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
読んでいただけるとは思っていなかったので、コメントまで頂いてしまい大変恐縮です。私も「ストイックな作家」ですが、感想をいただけることはやっぱり励みになります(笑)
この作中では描いていないことですが、「数十年生きてきた人が何かを伝えたくて筆を執り、その成果物が他人の心に響いたなら、それ自体有意味なことなんだろう」というのが私自身の創作物への感覚としてあります。でも、やっぱり自然に存在するものから受ける感動と、創作物の提供する人工的な感動は、後者がある程度形式知を駆使して機械的に作れるというところで質的に違うので、作中の「彼女」のような不安は読むときも書くときも抱いてしまいますね……。もし「お金」を誰でも刷ることができてしまったら、たちまち価値の尺度として利用できなくなってしまいますが、それと同じことが「感動」にも言える気がします。
素敵な企画をありがとうございました! また、丁寧に読み込んでいただいた上でのご感想、ありがとうございました!
後編への応援コメント
時としてお約束と知りつつも、作られた感動に身を委ねる事も、娯楽の一つと思える私は、たぶんこの世を正しく楽しめている人種だと思います(笑)
不思議なのは、同じ文字列をインプットしているのに、人によって処理や反応がここまで違うということ。
人の類似性は環境によって左右されるのか、それとも宗教ですかね?
ああ、それはともかく、川添様の文字は本当に素晴らしい!
脳が過振動で震えるのが分かります。
どんな結末になるのか怖かったのですが、最後のセリフで体中に震えが走りました。
計算通りだとすればまんまと嵌められましたが、物語を読んで、本気で感情が動く経験は久しぶりでした。
面白かったです!
作者からの返信
コメントありがとうございます! もったいないお言葉を沢山いただき、大変恐縮です……! 今回は娯楽性をあまり気にかけず表現として個人的にやりたいことをやったため、それが他人にどれだけ通用するか、『読んでよかった』と思えるものになっているか不安でした。なので、そのような感想をいただけて本当に嬉しいです!
> 計算通りだとすればまんまと嵌められましたが
私は本文中の ”彼女” のような不安を読むときも書くときも持っているので、思ってもいないような主張を物語に紛れ込ませて、それを真面目に受け取ってくれた人をバカにするようなことは絶対にしません(笑)
編集済
後編への応援コメント
この度は『伝えたい何かがある作品』の企画にご参加いただきありがとうございます。
深く読み解ける作品ですね。
私事ですが、元々この企画は書き手のメッセージと作品自体の娯楽性がどう両立されるかを見てみたくてたてました。
説教くさい作品にせずにどう引き込ませて読み手に伝えられるか見たかったんです。
そこで、彼女の言葉に核心をつかれました。そんな考え方もあるんだと思うと、自分の考えが果たして本当に元々の『自分自身』のものによるものか、それとも自分が読んで見てきた『何か』による誘導なのかも分からなくなってきます。
『白い絵の具をハケ』とか『正面玄関』等の言葉のチョイスも好きです。読みやすく自然に物語の中に自分を入れ込んで、自分はどちら側に近いのか考えてしまいます。
読解力がないので上手く読み解けていたのかわからないのですが、何度も読み返して理解したいと思える素敵な作品ですね!
拝読させていただきありがとうございました!
作者からの返信
丁寧なご感想、誠にありがとうございます!
厳密に扱えないものに対して、我々はどんな態度を取ることができ、そこでどんな葛藤が生じるか、その葛藤とはどんな気分なのか、というのが作品のテーマの一つでした。読後感としては「うまく言葉にできない」「正解の読み方が分からない」などモヤつくところがあるかと思いますが、そうしたもやもやについてあれこれ考えることを楽しんでいただけたなら、あるいはそうでなくても、どこか作品中に気に入った部分を見つけていただけたなら幸いです。