ここに芽吹いたのは紛れもなく、愛でした。

第5話まで読んだ感想、再レビューです。



企画元のプロローグ、主人公の視界に映る陰鬱とした現実と焦燥。あり得ないとは言い切れない、すぐそこに転がっているかもしれない、転がるかもしれない、笑えないリアリティ。
そこから始まるいくつもの物語の枝葉。切り口をどのように塗り分け、水をやり日を当て咲かせるか。ここに芽吹いたのは紛れもなく、愛でした。

第一話のノリだけを見て、「ギャグだ!やった~!」などと安易に飛びついてしまって申し訳なかったと、反省…そこは綾坂キョウだぞと、温かく広がる読後感を味わいました。
「5000兆円」と口にした願いの奥に、神が与えたもうた雫の色は。主人公の選択を、どうか見届けてほしいと記します。

短いながらも読ませる、素敵なお話でした。