昔懐かし新しい？一風変わった笑える戦隊モノをどうぞ

多田ユウはどこにでもいる平凡な高校生。だけどその実態は、悪の秘密結社が送り込む妖バグと戦うマジカルヒーローズだった！
…という太古の昔からある戦隊モノのセオリーをばっちり踏襲した本作。あーうんうん、仲間を集めて悪の結社と戦うやつねーと思ったそこのあなた、回れ右するのはまだ早い！この作品はありとあらゆるメタなネタが詰まっていて、最高に笑える作品なのですから(笑)

主人公の多田ユウはどこにでもいる平凡な高校生。でもこの場合の平凡というのは、誰しもが青春の中で通るちょっとカッコイイものに憧れてしまう気持ちも含みます。手の甲に浮き上がる紋様、選ばれし戦士、胸に抱える前世の古傷に憧れた経験は、読者の皆様も心当たりがあることでしょう。きっと誰しもが発症したことのある「厨二病」に絶賛罹患中のユウは、「力がほしいか？」と言いながらある日突然現れたメルヘンハムスターのポイラッテとヒーローの契約をすることになります。そこからレッドやイエロー、ブルーなど他の仲間を見つけて悪の結社に挑むことにるのですが。

この作品の面白い所は、100億年前から使い古されているベタな展開をこれでもかこれでもかと詰め込んで笑いに昇華している所です。敵の幹部が学校の先生、ラスボスはパパ、お互いの素性を知らぬままラブコメに突入する展開とネタバレがあってないような展開に対して地の文がキレッキレのツッコミを入れながら話を進めてくれます。ツッコミのキレもメタ要素に溢れていて、昭和25年のギャグから昨今流行りの異世界転生、悪役令嬢、異世界スローライフなど多種多様なネタが出てきます。
壁に擬態することにかけては天才的な、BL同人誌を愛好するあなたが喜んでしまう展開もチラホラあったりなかったり…？

戦隊モノは子供向けというイメージがありますが、どちらかというとこの作品は大人向けです。というより、大人だからこそわかるギャグが多くて、毎話必ず読者に一笑を提供してくれます。
幼い頃の戦隊モノに憧れる気持ちを思い出しながら、青春の頃に憧れた漆黒の片翼と第三の目を思い出して身悶えしながら、そして大人になったからこそ身近なブラック企業やインボイス制度の話題に震えながら。

教養があればあるほどわかるネタが多い(笑)ので、たくさんのものを見てきて、経験をしてきた大人にこそ読んでほしい、大人の為の戦隊モノコメディ作品です。
現代社会に生きることに疲れた時に読むことを心からオススメいたします。