斬新な面白さ!やがて不穏さが溢れる硬質な文体でつづるネトラレミステリ。

殺人事件とそこに至る経緯を各々の視点で描くというのは、ミステリでは、馴染みの手法である。ただ、本作の場合、事件は事件でも、ネトラレ場面の目撃である。当の本人たちの心情はさておき、ある種の滑稽ささえ漂う。そこに斬新な面白さがある。

ただ、本作はそれに留まらず、視点がより多くの人物に移り行くにつれ、不穏さが満ち溢れる。

文体は刑事物に通じる硬質さを保ち、読む心地良さを与えてくれる。

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