絶望したのは
バブみ道日丿宮組
お題:つまらない絶望 制限時間:15分
絶望したのは
復讐したい相手を見下した。
「……ゴミ」
スッキリするはずなのに、何も湧いてこなかった。
復讐は何も生まないって想像上の産物に書いてあったけれど、本当かもしれない。
「……死ね」
それでも言葉は、
「……消えて」
汚いものばかりだった。
動けなくなってる相手に浴びせ続けても意味がなかった。
これからきっとこいつは、様々な罪を私の代わりに償ってくれるだろう。
「……ばいばい」
最後と言わんばかりに、蹴りを飛ばす。
ちっちゃな身体は簡単に宙に浮いて、やがて壁へ激突する。
「あぐぅ」
空気を漏らす音が聞こえた。
口から血を流してた。
ピクピクと懸命に生きようとしてるのは、少しイラッとした。
わたしたちの幸せを奪っておいて、未だに生に媚びりつくとはね。
「……」
近づき、相手の髪を鷲掴みする。
成長しない肉体を持ったものをこうしてると、弱い者いじめをしてる感覚になってくる。
ずるい。
ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい。
今警察に見つかれば、間違いなくわたしが捕まるだろう。
巡回してる警察がくることは当然ない。わたしが今からする通報でここに駆けつける程度であって、そこまで警察というのは優秀ではない。
優秀ではないからこそ、わたしたちの幸せは崩壊した。
守られるはずの市民を守ってはくれなかった。ただの税金泥棒。
でも、それでも良かったのかもしれない。
こうして実際に痛めつけることはできた。罪をかぶせることもできた。
なら、これ以上何を望めばいいのか。
「た、すけて」
「……うざい」
頭を踏む。
わたしを助けてくれなかったのに、自分だけ助けてもらおうだなんてーー最悪。
理解に苦しむ反応だった。
今助かったとしても、今後はもうないのに、どうして哀願するのか。
わかってる? わかってない? どうしたい?
絶望なんてしてる暇なんてない。
そんなつまらないことをしてる暇があるなら、わたしたちのために血を流して欲しい。
痛めつけても死なないことは知ってる。
そういう種族だ。成長しないのもそのせい。
見た目で判断するなと、まさにいいたい。
頭脳は大人で、身体は子ども。
まさに悪魔だった。
「……じゃぁね」
頭を蹴飛ばし、わたしはその場を後にする。
絶望したのは バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます