一年ぶりの便り
石田信行
一年ぶりの便り
名残惜しそうに何度も手を振って別れたあの時のまま、時計の針が止ってみえる人がいる。
いつも近くにいて、どうせ3日もしたら顔を突き合わせるのに、大層な言葉を贈ってくれる人もいる。
そして。
もう何年もあってないのに、SNSを通じて今の私をわかってくれている人がいる。
リプライはおろか、「いいね!」もしない。ライフスタイルが違うから、こっちが見てる時間にオンラインにもならない。
誕生日で言ったら1か月も違わないのに、年次が一個上で、いつでも兄貴風ふかしてた。それが心地よかった。
「元気そうだから、心配してない。」
落書きみたいな虎とともに添えられた一言に、私の心は、奥のほうからゆっくりと温まる。何度も何度も目で読み返す。
一年に一度。
確かにあの人が、触れて、私に思いを馳せた瞬間を切り取った100mm×148mmの紙切れ。
一年ぶりの便り 石田信行 @boxabu
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