さびしい女の子とこわくない……けどやっぱりちょっとこわいおばけのお話

 こわい話はきらい。でも、おばけは怖くない。なぜならこわくないおばけを知っているから。

 小学校四年生のひかりの生活はもう惨憺たるものです。けれどもう達観というか諦念してしまっているのか、彼女が世の中を見つめる目はとても淡々としています。
 彼女が唯一安らげる押入れの奥にいる「ナイナイ」。どう考えてもヤバそうなそれを、いじめっ子だったありさが見にひかりの家にやってきたことから物語は大きく動き出します。

 作中で起きている事件は結構悲惨なのですが、登場人物たちがみんな飄々としているので、読んでいるこちらとしては何だか「こわくないおばけ」を見ているような気がしてしまいます。

 人の執着心や悪意、怨念じみたものが渦巻いているけれど、それがオブラートに包まれているように……見えているのに少し遠い。直視するとゾッとするけれど、先が気になって薄目で見てしまう。

 そんな、こわいけどこわくない、でもやっぱりちょっとこわいお話でした。

 あ、あとこれだけは言いたいんですが、一見人畜無害そうな神谷さんのぶっとんだ脅し方が最高でした!

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