ケータイ小説、恋愛小説……ヒューマンドラマって感じでしょうか。
コロナ時代の人の悪意とか歪んだ社会とか、大人なんだけど未成熟でズレちゃってる精神で、苦しみながら生きてる人物、みたいなのとか。
作中で扱われているネタも繊細だし、心情も繊細ですが(迂闊に感想書けないなってなっちゃうところがある……)文は重くなく、さらっとしています。
誰かの日記を読むようなノリでスクロールして読めます。
ストーリーを楽しむというよりは、ひとつのカップルがあって。そのカップルの人間性とか思い出とかを教えてもらうような。
例えるなら、24時間テレビに出てくるような誰かのドキュメンタリーを見てるような気分でしょうか。
ヒロインの明日菜さんが好感度高くて、ひたすら聖人みたいな良い人で。
健気だな、幸せになってほしいな、と思いました。
えっと、私は、今、恋愛小説を書いていまして、参考にした小説です。特に「ヒロイン」の性格をこの小説で勉強させていただきました。この小説のヒロインは、とにかく「雰囲気」が明るい「はつらつ」とした女の子でして、見ていて本当に清々しいのです。
私は、こういう「裏表」を見せない女性を書くのが本当に苦手でして、かなり勉強させていただいて、ノートにびっしりと5枚ほどメモをとったのを覚えています。とにかく、それくらい魅力的な「ヒロイン」なのです。
今書いている恋愛小説を日程内にあげないといけないので、そちらを優先してしまった私は、まだ1章しか読めていませんが、今の一作を書き切った後、最後まで読みたいなと思わせる「パワー」をもった作品です。
長編ですが、1章読んだだけでも、最後まで読みたくなる魅力がある一作、あなたも読んでみませんか?
物語の主人公村上春馬には、人気女優の神城明日菜という彼女がいる。
ただし遠距離恋愛で10年目、まともに付き合ったのは中学時代13歳の時の3ヶ月だけ。最後に会ったのは2年前の成人式、しかも遠目で見るだけ。
そんな彼女が久しぶりの休みに、地元へ帰ってきて主人公と過ごすつかの間の交流の話。主人公がちょっと変わった感性を持っていて、掴みどころのない性格をしているが、根底にあるのは優しさと切なさとやるせなさ。
演技とはいえ、自分より多くの回数を他人とキスしている姿、服の上や下着越しに身体を触られる姿、そんな彼女を彼はスクリーン越しに10年見てきた。黙って下唇を噛み締めながら。
お互いが大切で大切過ぎるが故に生まれる葛藤や無力感を、共通の友人の真央が優しく手助けする姿が印象的。長く女優を努めてきただけに、明日菜に(特に女優業について)エゴの強い発言が目立つが、それがよりリアリティと深みと物悲しさを生んでいる。
コロナ禍という、創作の世界ではなかった事にされる事が多い要素を、逆に物語の軸に据えた所が新鮮。他にないオンリーワンの世界を作り出している。