あの頃の俺は、突然できた妹に、『お兄ちゃん』と呼ばれるしかなかったんだ

 両親の再婚により、突然「きょうだい」となったふたり。こころに疵を抱えた、小さかった妹が、兄に懐くのは必然だったのかもしれない。

 しかし、仲のよい二人のことを見かねた周囲の勝手な思惑によって、二人には別々の道が、その、おとなたちから示される。
 そんな、理不尽な別れの直前、ふたりは星空の下で、約束を交わすのだが……。
 その時、結ばれた約束は叶うのだろうか……。

 ふたりが兄妹になった時は、兄妹としての愛情があったのだろう。その愛情が、そのまま育まれていっても、素敵な出逢いだったはず……。妹の無邪気さは、とてもかわいい。
 でも、時間の経過とともに移ろいゆくその想い……。
 妹が抱いたそれだって、必然なのだろう……。

 これは、優しい愛情が静かに流れる、おとなの人たちに向けた、童話のような物語である。