第289話 チーム解散

 ケリーと一真。ワイズ。それからルミエ。ジュリアスとサイスが加わった。そしてレニーとリビーとベルベル。最も新しいメンバーのアシュラキャット。


 今のメンバーは10人だ。チームは予定通り解散する。念話とリンクのスキルはセバスに返還。能力値は300以下で自分の好きなように編集する。


 キース銀行の口座に1000万チコリ入っている。持っていきたい武器や防具は自由に持って行っていい。連れて行きたいゴーレムや犬やカードモンスターも、望むなら何体でも連れて行っていい。


 セバスのダンジョンは、ドライアドのダンジョン同盟を脱退する。もうドライアドのダンジョン転移を利用できなくなる。セバスは主にピュリス近郊のダンジョンを管理する役割を担う。ピュリスの劇場や温泉をダンジョンの一部として所有しているし、ナターシャの海の白銀などのテナントもあるので、セバスのダンジョンは財政的には黒字が続くはずだ。


 チームの財産を維持管理していくのもセバスの役割だ。Barセバスも維持される。会合も可能だし、だれかと面会する時の秘密の場所としても利用できる。リリエスのスキルをはじめ、アイテム類もまだチームの財産として豊富に持っている。それが欲しい時にはチームメンバーは格安で買えるということにした。様々なブラッシュアップも有料で可能。


 ドライアドのダンジョンのメニューから購入もできる。セバスのダンジョンしか提供できないものをメニューに供給し続ける代わりに、チームメンバーに限り購入を可能にした。このダンジョンメニューの方が、いろんなものを売っている。


 ブラウニーのダンジョンはサイスが作ったものなので、サイスが所有する。孤児院と老人ホームも引き続き維持していく。ドライアドのダンジョンを模倣して、世界中のダンジョンをブラウニーの支配下においたので、ダンジョン転移ができる。チームメンバーは特別にブラウニーのダンジョン網で転移できる。しかし有料。1回1000チコリ。


 ケリーは落ち武者狩りビジネスをやることにした。世界大戦がはじまりそうだった。ビジネスは2部門ある。1つは戦争で死んだ人の武器や装備を奪う死体漁り。死体はブラウニーダンジョンで500チコリで買い取ってくれる。ダンジョンに吸い取ってもらうとダンジョンポイントになる。


 もう一つは負けた人を捕まえて、奴隷に売るビジネスだ。人間は資源なので殺すのはもったいない。人質にして敵からの買取を待つのは、手続きが煩わしい。一旦奴隷商に売って、家族は奴隷商から買い戻すシステムにする。市場の活用だ。


 ゴミ漁り奴隷だったケリーは、成り上がったと言っていいだろう。人手がいるのでシュビー2、ケリウマ、ケリイヌ、コオロギたちのゴーレム、カードモンスターたちを全部連れて行く。ヒールのスキルが必要なので、今日までは無料のヒールスキルを導入しておく。拠点はサエカのダンジョン地下。


 一真とワイズは人化をやり直して7歳に戻る。幼馴染が一緒に小学校入学するところからやり直す。一真は発酵技術の研究と魔道具の開発。ワイズは薬師と錬金術の道に進むつもりだ。連れて行くのは能力値が10分の1になった1号だけ。拠点はトールヤ村。メドゥーサは、カリクガルとの戦いのさなかにどこへともなく消えた。一真は輪廻に帰ったと信じている。


 ルミエはエルフの里の両親のところに戻る。ユグドラシルと色々話すことはありそうだ。精霊召喚はユグドラシルがアークエンジェルを用意してくれているらしい。それを受け入れるかどうかは保留中。ユグドラシルも偉大な人種エルフとは言わなくなった。心の折れていないただ一人のハイエルフとして、ルミエの役割は大きい。


 ジュリアスはブラックジュエリー一家を率いて当分ムスタンに住む。ムスタンとの縁があった。それにこの街は、今後も狙われる可能性が高い。黒ネコ合唱隊はアシュラキャットが修行の旅に出るので縮小する。維持はしていくつもりだ。ジュリアスは極道の組は誰かに任せて、本来の仕事、裁縫士や刺繍士として生きていきたいようである。


 サイスは前線に残る。ディオンの図書館で古代語研究のプロヂュースをしながら、S機関の長として民主主義の発展に尽くす。タマモやジーマが協力を約束してくれた。ファントムは拡張されたサイス自身だが、ブラウニークランを維持し、奴隷のイワンはレンタル警備隊を管理してくれる。


 レニーは隠れたる神の兄弟団の女子修道院に入る。世界が戦争に向かう中で隠れたる神の兄弟団は否応なく戦争の当事者になっている。アズル教の教皇派が神聖クロエッシエル教皇国の教皇と一体化しているのでやむを得ない。


 レニーが連れて行くのはブルースと氷雪ドラゴンと玄武のペルソナ、それにカードモンスターのクイーン。彼女の戦いは終わっていない。戦いの後、許し、忘れる日は来るのだろうか。


 リビーは森の守護者として生きていく。提携するのはピュリスのヴェイユ家だ。拠点はモーリーズ。ここにはドワーフが多く、鍛冶と魔道具の町として発展しそうである。領地にはナージャ鉱山があり、とてつもなく裕福だ。ケンタウロスとリザードマンから、祖霊の守護を受けている。


 マジューロから聖剣ユオレットを受け渡されて、次の勇者と目されることになった。全武器の適性、全魔法の適性がある。それにふさわしい強さもある。何より美貌がある。良き勇者になるかもしれない。


 ベルベルはルミエとの同盟を解消した。敵対したわけではない。それぞれの道を歩き始める。ベルベルは強者の道を選んだ。今や能力値の平均は250を超えている。1、2年のうちに300を超えるだろう。


 六魔の杖は、強者にはとてつもない武器になる。格下を相手にすると、6体の悪魔が牙を剥く。王者のムチは近接戦で相手から能力値を奪う。エロスの神弓は、追尾のモジュールと組み合わせたら最強の弓だ。


 魔法スキルも優秀だ。ベルベルには相手の能力値を吸うドレインという強力なスキルがある。月光というデバフスキルも強力だ。木の瞑想がさらにレベルを上げたら、ベルベルはとんでもなく強くなる。


 そしてベルベル隊という協力者がいる。もう10人になった。ドライアドは、人化する時にどんな姿になることもできる。世界のどこにでも出現できる。しかも事実上不死なのだ。エロスの神弓を持った10人が現れたら、小さな都市なら滅ぼすこともできる。


 ベルベルはドライアド解放戦線議長である。ドライアドが、エルフやユグドラシルから自立できるように、前線で戦うつもりでいる。世界大戦のなかで独立遊撃隊として、大いに活躍するかもしれない。


 アシュラキャットは、黒ネコ合唱隊から一旦離脱して旅に出る。冒険者兼吟遊詩人としての修行の旅だ。冒険者としては能力値がまだ200には届いていない。ランクはまだEランクである。薬草採取、町の雑用からやり直し、Cランクになるまでは帰ってこないつもりである。


 吟遊詩人としてもまだまだ駆け出しだ。いろんな経験をして自分で詩と曲を作りたい。いろんな酒場で歌い、たくさんの人と交流したい。アシュラキャットには夢がある。


 本人に自覚はないが、アシュラキャットには女性ファンがけっこういる。極道の若頭としてである。彼が吟遊詩人として町を流し始めたら、女性関係のトラブルも予想される。それがアシュラキャットを磨いてくれるといいのだが。






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ゴミ漁り奴隷が成り上がるまで 神森倫 @kamori

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