スピード違反の魔法のほうき

　やさしく流麗な文体で描かれた秀逸なファンタジーである。
　奔放ともいえる自由な発想（作家＠ramia294氏の本領だと思う）が美しい情景の中で物語として整えられ、発現する。
　魔法の箒は自動車のメタファだろうか。
　ものづくりの現場では、様々な制約（コストの問題など）が ものづくり人の邪魔をする。たまに小説や漫画を読んだり映画を観たりして現（うつつ）の縛りから魂を解放することが必要だ…知り合いの工学者の言葉を思い出した。
　イノベーションに汲々としている技術屋の皆様（作家の皆様も）、この物語をお読みになって心を休ませては如何だろうか。

　素敵なお話です。

　主人公は魔法のほうき作りの職人さんです。溜まった有休を消化するために旅に出ますが（魔法の国の有休は消化できるのですね。いいなぁ）、これも新しいほうき作りの材料探しです。

　色々あって最高のほうきができるのですが、ちゃんとオチがあります。何だか、童話と落語が上手く混ざったお話でした。