悪意を放つその遺体は、復讐の道具なのか、それとも……。

物語は衝撃的な遺体の発見で幕を開ける。
遺体には首が無いだけではなく、常識的な医学ではあり得ない状態で発見されたのだ。
主人公である秋月は、犯人の指示に従ってその遺体を解剖することになる。

解剖室内では犯人のしかけた罠が次々と作動し、緊迫した状態が続くのだが、圧倒的な迫力、息もつかせぬ勢いで読ませてくれる。
悪意の塊のような遺体は、単なる復讐の道具なのか、真実は何処にあるのか、と読む手が止まらず先を求めてしまうほどだ。

倫理か、探究心か。友人だった二人の医者の、どちらも引けぬ己の信念。その対立が事の発端となったことが悲しい。

その他のおすすめレビュー

外宮あくとさんの他のおすすめレビュー56