私の中の歯車で、君との距離も測れたら。

 主人公の女子高生は、幼い日に、時計の歯車を呑み込んだ。救急車で運ばれたものの、その後は判然としない記憶の中に埋もれた。
 そんな主人公が気になっているのは、吹奏楽部で本の虫である男子高校生。恋愛感情とも違う不明瞭な気持ちのまま、気づけば声をかけていた。本の話しや、貰いすぎたリンゴの話し。部活や音楽について。彼はいつも飄々としていて、風のように掴みどころがない。しかし彼の中にある世界観に触れた時、主人公はある感覚に気付く。
 
 独特の文体で描かれているのに、とても読み易かったです。
 その独自の文章が、物語に醸し出す雰囲気が好きでした。

 是非、御一読下さい。

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