コロナ禍だからこそのジャパニーズホラー

 筆力などは他の方がレビューされているので、最早言うに及びませんが、個人的にこの筆力豊かなジャパニーズホラーが「今この時読める」ことを推したいです。

 新型コロナウイルスによる日常の一変は、インフルエンザとは比べ物にならないほど、感染への忌避感や危惧といった『恐怖』を根深く植え付けたと感じます。重症化すれば死に至り、特効薬が存在しないというだけでなく、感染は可視化できないからこそ恐れられているのではないでしょうか。
 今この時の自分も、自覚症状がないだけで感染しているのかもしれない……そうしたら身近な人達を危険に晒しているのでは? 今感染していなくとも、明日あり得るのでは? という可視化できない恐怖は、ある種ホラーめいているのかもしれません。

 本作で取り上げられている呪詛の感染は、コロナ禍の現代だからこそ、身に沁みて体感できる恐怖だと思います。

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