苦手なことや障害があっても、自分なりにできることをやったらいい。

 このお話の良いところは、「自分そのもの」を受け入れてもらえたことと、「ありのままの自分」を見てくれる人がいたことに救われた部分かな……と思います。しっくりくる言葉を見つけるのが難しいのですが、この二つのことが読者の一人としてぐっと来ました。

 作中では、コミュニケーション障害を持っている子が主人公として描かれているのですが、これは障害を持っている人だけではなくて、人よりも苦手なことがある方なら誰でも共感できる話なのではないかなと思います。

 苦手なことや障害を持っていると、社会のなかでハンデを背負わざるを得ない部分は少なからずあると思います。本当はそれらを上手く受け止める仕組みがあれば良いのですが、中々難しいのが現状ですし、全ての人に理解してもらうことは容易なことではないでしょう。
 それでも、誰かが「僕はそれで良いと思います」と言ってくれたら、ずっと心は軽くなると思うのです。

 この作品のなかで、主人公が得た言葉は大きかったと思います。不得意なことや障害とはきっと長らく付き合っていくことになるでしょう。そのためできないことを責めるのではなく、自分のありのままを受け入れながら(許しながら)、出来る範囲のことをしていけたらいいのだと思います。そしたらきっと、その人が持っている「得意」や「できること」に気づいて、彼らにももっと自信が付くかもしれません。

 苦手なことがあっても、障害があっても、「それでもいいんだよ」——。
 そんな風に寄り添ってくれるような優しいお話でした。

 気になった方は、是非読んでみてください。

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