「エピローグ」





 ──このゲームを始めて、何年経っただろうか。


 長かったような、短かったような、不思議な感覚があった。


 まだ成長するから、と考えていたのだが、残念ながらゲーム内アバターにも現実の身体にもあまり変化は起きていない。

 いや、まだだ。まだあわてるような歳じゃない。


 それより、ゲームの話だ。


 光が苦手なエルフの娘としてこの世界に降り立ち、そこから全ては始まった。


 エアファーレンの街を蹂躙したのはいつだったか。

 あの頃は確か魔王に転生したばかりで、何が出来て何が出来ないのかもよくわかっていなかった。

 考えてみれば、エアファーレンを崩壊させた時は魔王としての力など全く使っていなかった。どちらかといえばあれは蟲の女王たるスガルの力だ。

 そのままの勢いでヒルス王都まで攻め上がった。


 そう、そこでレアは最初で最後の死に戻りを経験したのだった。

 もしあれが無かったら、きっともっと重大な局面で死亡していたに違いない。

 そういう意味では感謝している。


 ヒルス王国を落としてからは早かったように思う。

 大天使を倒したり、仲間たちと力を合わせてイベントを開催し、中央大陸全域を事実上支配下に置いたりした。


 その最中に、ブランの伝手で吸血鬼の伯爵と出会い、黄金龍の事を聞いた。

 ゲームにおける、レアの目標が定まった瞬間だった。


 西方大陸に行ったのはその後だったか。

 ジェラルディンやゼノビアといった現地の仲間も増え、そこで喋る黄金龍の端末と対峙した。


 各地で端末を倒し、他のプレイヤーたちと一緒に力を溜め、ついには黄金龍を討ち倒した。


 その戦いを通じて神となったレアを、止められる者はいなかった。


 中央大陸を表側とするなら、裏側とも呼べる世界に浮かぶ島や大陸でもそれは同様だった。


 復活した太古の神とやらも例外ではなかった。

 『神罰』と『神罰』の激突は大陸をまるごとひとつ消滅させることになったが、その戦いを制したのもレアだった。

 神を一柱倒したことで新たな神の座を得ることが出来たが、特にメリットはなかった。ただ2枠専有しているというだけである。将棋のタイトルと同じだ。

 まあ、挑戦者が増えるという意味では悪くはないのだろうが。その分退屈しなくて済む。

 全ての旧き神を倒した後は、次元の狭間から行けるという、遠く離れた黄金龍の故郷に攻め入る準備をしていた。黄金ウツボが村人感覚で居るらしい。楽しみだ。





 そして、今──





 神の座を狙う、何人目かの挑戦者が、レアの前に立ちはだかっていた。





「──久しぶりだね。ついにここまで来たってところかな。

 ……きみとこうして向かい合うのは何度になるか。でも、きみがわたしから何かを奪うために戦うというのは、もしかして初めてなんじゃないかな。これまでは邪魔をするばかりで、大して脅威にもならなかったし。

 ああ、最初の一回目は違うな。そういえば、わたしの命を一度は奪ったんだったね。

 ……一度は命を奪った、って言い回しが気になるって? ふむ。

 よろしい。では、きみがわたしに勝ったら教えよう。わたしが一体何者で、どこから来たのかを。

 だから見せてくれ。きみがこれまで積み重ねてきた、その経験値の輝きを──」








★ ★ ★


本編はこれにて完結といたします。

ただ、オンラインゲームのお話ですので、サービスが続く限り物語は続きます。

人生と一緒ですね。つまりネトゲは人生。自分じゃどうしようもない要因で突然終わるあたりも一緒。

なので、以降不定期に投稿する事があるかもしれません。

私としても初めて投稿した作品ですし、愛着があるのも確かなので、ひとまず毎日投稿が終了しただけくらいの気持ちでいいかもしれません。

一応完結済にはしておきますが、再開したら外します。

その場合はこのエピローグよりも前の話を書くことになる、かもしれません。なのでエピローグには話数は付けませんでした。


まあ、現状中々エピソードを追加する事もできていませんが。

追加のエピソードや、キャラクター紹介まとめ、それから以前にご要望を頂いた用語集についてはぼちぼち進めていきます(


あ、あとご存知の方もいらっしゃると思いますが、拙作「名探偵おねぇちゃん」は小説家になろうラジオで朗読された事があります。多分ゆーちゅーぶにバックナンバー上がってると思います。第129回ですね。

本作とは直接関係ありませんが、直接関係ありませんが、残念なお姉ちゃんと世界一かわいい妹に巽悠衣子さんのボイスが付いてたまらない感じになっておりますので、興味のある方は聞いてみてください。

よろしければぜひ。


また、本作は第7回カクヨムコンテスト キャラクター文芸部門で特別賞を頂いております。

その関係で、現在書籍化に向けて関係各所と打ち合わせを重ねております。

具体的なことは申し上げられませんが、なにか進展がありましたらTwitterや近況ノートの方で告知したいと思います。

よろしければそちらの方もチェックしていただければと思います。


それと、現在新作を執筆中です。

色々重なってしまい中々筆が進んでおりませんが、とりあえず10万~15万文字程度を一章分とし、そこまで書けたら順次投稿していく予定です。

長いタイトルに挑戦してみようということで、まだ仮称ですが、「転生者がシナリオ無視した結果、バタフライエフェクトで生まれたキャラがやべーやつだった場合。」みたいな感じのお話にする予定です。主人公はやべーやつの方、の予定。

投稿を始めましたら、お読みいただければ幸いです。


最後になりますが、ここまで長らくお付き合いいただき、誠にありがとうございました。



★宣伝★


現在、カクヨム様にて他に


「転生者がシナリオを変えた結果、バタフライエフェクトで生まれたキャラがやべーやつだった場合。(仮)」


「美しすぎる伯爵令嬢(♂)の華麗なる冒険」


を投稿しております。

よろしければぜひ。

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黄金の経験値【カクヨム版】 原純 @hara-jun

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