特別な力だけじゃない。彼女の魅力が周りを動かす

後宮に勤めているものの、生来のドジと方向音痴のせいで、失敗ばかりの鈴花。しかしそれでも彼女は、ある目的のため頑張ります。
同じく後宮に勤め、行方知れずになった姉、菖花。鈴花が後宮に来たのは、そんな姉を探すためでした。

ある日またもや道に迷った鈴花が出会ったのは、見目麗しい宦官、珖璉。とはいえ鈴花はそのお顔がよくわかりません。なぜなら鈴花の目には、珖璉が銀の光を纏っているように映っていて、珖璉本体がうまく見えないのです。

実は、鈴花には人の放っている《気》を見ることごできる、《見気の瞳》の持ち主。それに気づいた珖璉は、後宮内で起こっている宮女殺しの犯人を見つけるために、鈴花の力を借りようとします。

ドジで不器用な少女が、思わぬ力のおかげで大逆転?
と言いたいところですが、少し違います。もちろん、鈴花の持つ《見気の瞳》が本作の大きな要になっているのは間違いありません。ですがそれだけではないのです。
鈴花最大の魅力は、純朴さと一途さです。行方不明のお姉さんをわざわざ探しに来たのだってそう。陰謀や愛憎渦巻く後宮にはおおよそ似つかわしくない彼女ですが、それでも必死に頑張る姿は、周りの、そして珖璉の心を、しだいに惹き付けていくのです。

そしてそして、そんな鈴花に惹かれていった、珖璉が実に魅力的。
この二人がどうなるのかは、お姉さんの行方や後宮の事件以上に気になるところかも。

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