第5話 サボテンを愛でる

 未だに名前呼びは許してくれないけど、部活がある時は一緒に帰っているから俺は桜田妹と付き合っていると思っている。駅から彼女の親が迎えにくるスーパーの駐車場まで自転車を押しながら彼女に合わせて歩いていく時間が大好きだ。


 時折ストーカー呼ばわりされたりSNSの返答がトゲだらけだったりするけど、そこは口の悪いツンデレ(デレ少ないけどね)な彼女の事だから言葉半分に処理している。いつもニコニコ迎えてくれる彼女の母親を見れば公認間違いなしで今度休みの日にデートでも誘わなきゃと思っている。


 最近気付いた事がある。彼女は男と基本、口をきかない。女子のお友達しかいない。個人的にやりとりする男は父親と俺だけらしい。これは桜田姉情報だ。だから、俺は冷たくされて落ち込む事はあっても他の男にヤキモチを焼く事はまだ無い事に気付いた。もしかして一途かもとふわふわした感じを覚えた。


 桜田姉を好きだった森の痛ましいほどのヤキモチを思い出した。桜田姉と話す男子を片っ端から排除しようとしてたし、俺はよく後ろから消しカスを投げつけられた。野球部のコントロールを変な事に使うやつだった。


 癒し系だけど誰にも癒し系の姉とサボテン系だけど時折花咲く妹のどっちが良いかって俺は一目惚れに浸かったまま全身トゲ刺されても妹の方。運命の様に同じ漢字のあの名前いつになったら呼ばせてくれるかなー。


 

 

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