第6話 体育祭部活対抗リレー

 九月になると体育祭だ。高校になると保護者が観覧に来る事はなく平日に行われる。ほぼクラス対抗の球技で、後は部活対抗リレーがあるくらいだ。これは九月からでも新入部員を勧誘するために始まったと言われており、ルールは 


①ユニフォーム着用

②バトンは部活で使用するもの

③部内から5人男女問わず


である。そして速さは勿論だが、アピール賞なるものも存在し、陸上部以外はそこを狙う。いや、サッカー部や硬式野球部はガチで陸上部と戦っている。そこで、陸上部のバトンに比べサッカー部のボール、野球部のバットはハンデであると抗議がなされ陸上部は5人のうち1人を校長先生に指定されている。


で、剣道部だ。ユニホームが道着。この袴がなかなかに走りづらい。かつ裸足。足痛い。バトンが竹刀。ちょっと暴力的。人にぶつけないように走るのが大変だ。お察しの通り、足の速さ的には並の俺も選手だ。智世ちゃん(心の中だけで許されている名前呼び)受けを狙うにはどうすればいいか真剣に悩んでる日々である。


 体育祭1週間前の帰り道その話題になった。


「清水先輩は部活対抗リレー出るんですか?」


「出る。三年生居なくなったから人数ヤバい。まあ、去年も出た。」


「私も出る事になって。」


「美術部?」



「うちも部員少ないですから。文化部は速くなくても大丈夫と言われて。メインの陸上部ゾーンとは違うからって」


そうなのだ。走行順は考慮されている。

陸上部と競うガチレース、柔道部や剣道部など裸足で走る裸足のレース、文化部のみのレースの3つに部活が分類され競うのだ。


「美術部は制服かな?バトンは絵筆?」


「打倒吹奏楽部なんで、企業秘密になります。剣道部は袴ですか?」


「袴。俺似合うから。惚れなおすよきっと。」


「私、準備で2レース観れないかもです。惚れる暇ないですね。」


あっ、ツン。でも出場する事を教えてくれたのはデレ?デレだ。


「応援するね。美術部。」


「お互いアピール賞に関しては敵なので、応援いらないです。」


デレを隠すのに必死な智世ちゃんはやっぱり可愛い。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る