第4話 俺と契約して☆
前に桜田姉の方とメガネ屋の話で同じ所で作っていると知っていた。癖のあるおじさんが店長だが、腕は確かで一度あそこでメガネを作ると長持ちするから、他に行く気がしなくなる。気分で店を閉めてしまうが、電話しとけば待っていてくれる。
メガネ屋に電話をすると彼女に腕を差し出した。
「捕まって歩きな。」
メガネ屋を手配してくれた事で安心したのか彼女はハンカチにメガネとネジを無くさないように気をつけながらくるみ制服のポッケにしまうとそっと俺のひじあたりの制服をつまんだ。すごい可愛いいじゃないかと内心バクバクしながら電車に乗った。この時間の上りは空いていたから、くっついてる2人はリア充に見えたかもしれない。隣をみると彼女は真っ赤な顔をして俯きながら俺のひじあたりの制服をつかんでいる。恥ずかしいのか口もきかない。その姿があまりに可愛いから、ひじがこそばゆくて仕方なかったけど黙っていた。駅からは自転車2人乗りで五分ほどのメガネ屋さんに向かった。
「ちゃんと
「降りますー怖いですー。電話しますから、親呼びますから」
「暗いから危ない!すぐだからちゃんとお腹に掴まって。メガネ屋さんで待ち合わせにしただろ!」
なんて叫びながらの道中で、自転車二人乗りっていうロマンス要素は皆無だったけど。
メガネ屋さんで直してもらって彼女の母親が来るまで一緒に店の前で待っていた。暗いから、女子を1人にしちゃいけないという理由で。
「ありがとうございました。助かりました。」
妙に礼義正しくおずおずと彼女が頭を下げてきた。
「あの、顎大丈夫でしたか?」
今頃それ?と思いながら顎をさすった。なんでもないけど。
「痛かったー。頭硬いね。明日
「ごめんなさい!」
「じゃっ痛くなくなるまで、俺と付き合って」
多分これが一目惚れって奴だ。俺が一目惚れするくらいだから彼女の素顔を別の奴が見てしまったら大変じゃないか。口の悪い彼女が大人しい時につけこんどかないと。
「付き合うってあの?」
「カノジョになって。とりあえず部活ある日は一緒に帰ろっか。またメガネが壊れたら大変でしょ。」
「そ、そんなすぐにメガネは壊れないし、顎そんなに痛いなら病院に!」
大袈裟に顎をさする俺を真っ赤な顔で睨んでくる。そんな顔をしても無駄で俺にはもうなんでも可愛く見えてしまうんだ。
一目惚れって突然襲ってくるもんなんだな。しかも逆らえないし、もう惚れる前には戻れないし。否定派だった自分はなんと物知らずだったことか。そして、母親と一緒に妹を迎えにきた桜田姉に
「智、顔溶けてるよー。しっかりして」
といわれたから俺の気持ちはダダ漏れなんだろうな。
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