アナザーアウター

国立つくば量子研究所に修学旅行に来ていた「新木 施来（あらき　しくる）」はブラックホール生成実験に巻き込まれ、生成されたブラックホールに吸い込まれてしまった。

途中で意識を失った施来だったが、目を覚ますとそこは薄暗くはあるものの、もといた研究所の実験室だった。あたりは静まり返っており、自分以外に誰もいないようだった。が、

「ここには誰もいない。君と僕以外は。」

そこには子供がひとり。困惑する施来に続けてその子供は話す。

「ここは、アウターではブラックホールと言われている世界の内部。そして僕は君がここに来ると同時にブラックホールが生成した情報。」

施来はここに来る直前に研究員から聞いた話を思い出した。
「ブラックホールの中は実は情報の塊、超巨大なUSBメモリーのようなもの」であると。…続きを読む