江戸川乱歩の少年探偵団を彷彿とさせる怪しげな雰囲気から、物語は幕を開けます。
『大切なものを頂戴いたします。期日は、一週間後。水曜の零時。怪人影男爵』
怪人影男爵からの予告状。
対するのは、少年探偵団、いやいや、少年の心を持ったまま大人になったおじさん探偵団です。
いつまでも少年でいられるわけではない。少年探偵団だって、年月とともに大人になります。
私は最初登場人物の名前を覚えるのに苦労したのですが、それも最初だけ。五人のおじさんたちが個性的でユニークで、魅力的なんです。
五人のおじさんたち、それぞれの特徴や癖が物語をさらに面白くしています。
やんちゃで男気あふれる久保くん。
穏やかでスマートな中嶋くん。
知的で鋭い宮城くん。
庶民的でオタクな雉子波くん。
手先が器用でまっすぐな島貫くん。
実写映像化して、それぞれの俳優さんがついたらさぞや面白いだろうと想像してしまいます。久保くんや宮城くんにはファンがつきそうです。わたしは中嶋くん推しですが。
そしてもちろん、メインである謎解きもワクワクハラハラ。
人の持つ闇が事件に華を添えます。その悪の華の禍々しさは、おじさん探偵団を翻弄します。それでもおじさんたちは負けません。
物語を読み進めていくと、おじさんたちの絆がより深まっていくのを感じます。
きっとこの五人なら、怪人影男爵を倒せるでしょう。
人間味あふれるおじさんたちが謎に挑む姿を、ぜひご一読ください。
ホームズのような超人的な天才探偵が怪盗を追うのではなく、おじさん5人が力を合わせて怪盗を追い詰める。得意分野が異なる5人がチームを組めば百人力!
気心のしれた仲間内での会話は愉快でクスリと笑えます。事件が起こっているのに雰囲気が悲惨にならないのは彼らの会話が楽しいからかも。
最初は登場人物全員が怪しい。話が進むにつれ、「この人は違う?」とか「えっ!? まさかこの人?」と推理が行ったり来たり。でもそれが楽しい。
たくさん張られた伏線も綺麗に回収して満足感の高いミステリーです。
最後まで読めば驚きを味わえますよ。是非是非!
ミステリー作品のレビューって、書きにくいです。ネタバレなし書くことが、ちょっと難しいからですが。
でも、お読みいただきたいから、がんばります。
だって、いい作品なんです。
怪人影男爵からの予告からはじまる、このミステリー物語。
かつて少年の頃、仲間だった5人の中年男が集まる。
この設定から、おおって思いませんか?
中年です。いろんな事情を抱えています。
でも、世の中の酸いも甘いも噛み分けた、噛みわけすぎて中年になった、お腹ぽっこりのおじさんたちが、まるで少年見たいに熱血です。
今回、カクコン9に合わせて、あらたに新展開を綴る作品。
本当に面白いです。
どうぞお読みください。
子どもの頃からの友達、少年探偵団だったおじさん5人組。
最初はその存在は、『おじさん探偵団』でした。
しかし、読み進める度に、その存在は『中嶋くん』『島貫くん』『宮城くん』『雉子波くん』『久保くん』という、各々5人の存在を、その一人一人を主役にします。
そして話が進むにつれ、性格も考え方も違う彼らの有りよう、補い合い、助け合い、信じあう、そんな絆をしっかり感じさせられました。
長所も短所もある人間。だけど、それがいい。だからぴったりと噛み合うのでしょう。
そんな探偵団の活躍は、楽しく、小気味よく、そしてじんわりと温かく。人と人との絆を強く感じられます。
皆さん、そんな彼らと一緒に怪人影男爵を追ってみませんか?
小学校の頃に読んでいた少年探偵団のような文体なのにおじさん達が主役って何だかシュールで面白いな。
ーーというのが、序盤の感想でした。
読んでいくうちに、おじさん達が自分の職を生かしはじめたり、大人になってしまったことによる悩みを打ち明けだしたりと、「おじさんであること」が存分に生かされていて脱帽しました。
特に、久保さんは大人になりながらも、少年の時の真っ直ぐな心を持っていて、終盤になるにつれ眩しく見えましたし、彼の言動に泣かされました。
青春時代を美しく描き、その後は暗く重く描く作品が多いこの世の中、本作はおじさん世代も輝いてみせて素晴らしい人間讃歌だと感じました。
歳をとるとともに、色々な柵を抱え変化しながらも
少年の頃の絆を解くことなく、幼馴染5人で寄り添い事件を解決しようとしていく、少年から中年になったおじさん探偵団。
その姿を見て、私は小学生の時、夢中になって読んでいた少年探偵団や、怪人二十面相、名探偵明智小五郎シリーズを思い出し懐かしい気持ちになりました。
中年探偵団VS怪人影男爵!
語り口はとても軽快で分かりやすいですが、そこはかとなく背徳的な淫靡さと、家族とは何か問いかけられているような深みがあります。
想像を超えた大どんでん返し!彼らの攻防の行方やあらゆる仕掛けが面白いです!
レビューを書くのが苦手なので、うまく表現できるかは分かりませんが、中年のおじさんたち探偵団が謎の怪盗影男爵に翻弄されながらも、立ち向かっていく様子が、丁寧な三人称で語られ、その世界観がとても優しく面白くて、読み出したら止まりません。
物語の構成やストーリーも人間模様も、全てにおいて、最高に面白い作品だと思いました。私はまだ第二章まで読み終えたとこなのですが、レビューを急いで書きにパソコンの前に飛んできました。
大好きな作品です。ぜひ、探偵団などお好きな方は読んでいただきたいなと思いました。
本当に物語の語り口調なども含めた全ての世界観に脱帽です!
素敵な作品、ありがとうございました!
タイトル通り、おじさん探偵団が怪人影男爵と対決、事件を解決しようという探偵物語です。
『おじさん探偵団』なのは、少年の頃に探偵団を結成していた仲良し5人組が、大人になっても探偵団だから。
このお話、謎解きも勿論楽しめます。
その謎解きを進めていくうちに、作者様が主人公達をはじめ、登場する人物達をとても丁寧に描写されていることに気付きます。
それぞれの人となりが良く分かって、すんなりと読み進めることができるのも魅力です。
そして、もうひとつ肝心なのは、語り口。
子供の頃に読んだ、探偵もののお話を思い出すような穏やかな語りが、とても懐かしく心地よく読ませてくれます。
今からでも間に合います。
おじさん探偵団と一緒に、事件解決とその先にあるラストまで進んでいってみませんか。
自分はいわゆる怪人小説を初めて読みました。ですが、ナレーションの口調が丁寧で優しく、どこか子どもの頃にかえったような懐かしさを感じながらするする読んでいけます。
そんなナレーションとは打って変わって、おじさんたちのリアルさが面白いです。「あ、そうそうおじさんて、こうだよね」みたいなのが随所につまってます。たぶんあなたの“推し”になれそうなおじさま、絶対います(わたしはちなみにちょっとやんちゃでバツイチなダンプカー運転手久保くんの発言ににやにやしてます)。
そんな大人な元少年探偵団が追う謎にはどうしようもないことや、やるせないことも見え隠れするのですが、そんな事情もイケオジたちが全部ひっくるめて包み込んでくれます。この懐の広さ、さすが伊達に歳はとっちゃいません。ここに少年探偵団ではなく『元』少年探偵団という意味がちゃんとあるんです。
ミステリーとして「怪人キターーーーーー!(^o^)/」と楽しむもよし、現代ドラマとして「そういうこともあるよね」と心をじんわり熱くするもよし。色んな角度から楽しめると思います。
ちなみに今日、物語の重要回を読みましたが、うん、しっかりだまされました(`・ω・´)。しかもなるほどなあっていう。みんなもこの「やられたァ!」を味わってほしい!
――大切なものを頂戴いたします。期日は……。
黒いカードに書かれた、怪盗の予告状。
陰鬱とした街を闊歩し、銀色に輝く大きな月を背に、窓枠のところに足をかけて立つ。
漆黒のモーニング服に、シルクハット。目元を覆う黒い仮面の下には、左右に細く伸びた形の良い髭。
大胆不敵でありながらも、気品を感じさせるその人物は――怪人影男爵。
誰もがその怪人に目を奪われ、身動きをとることすらかなわない。
「あの。探偵団への依頼はこちらで、とお聞きしたのですが――」
喫茶店『ペッシェ・ロッソ』を訪ねてきた依頼人。
その怪人に挑むのは少年――ではなく、おじさん探偵団⁉
大柄で筋肉質、圧倒的存在感と様々な経験を持つダンプカーの運転手・久保くん。
クールに見えるが温厚な性格、女性客がこぞって来る喫茶店のマスター・中嶋くん。
言い回しは哲学者、人間の内面を追及するミステリアスな医者・宮城くん。
手先が器用で、様々なモノが作れるホームセンター店長・島貫くん。
お堅そうに見えて実はアニメ好きなヲタク、地方公務員・雉子波くん。
さあ、あなたは誰と恋をする――じゃなかった、
社会の波に揉まれても個性的な彼らは、事件を解決することが出来るのか――⁉
【読めば読むほど、じわじわとレベルの高さに気付く】ミステリである以上、話の中軸が謎解きになることは必然ですが、本作はそれだけのお話ではございません。この作品の良いところは、あくまでも『影男爵と対決する主人公たち』を主眼に物語を描いている点です(主人公たちはただの謎解きの駒では無いということです)。だから小説として純粋に面白い。何話でも読んでいられそうな気持ちになります。
頭で謎解きに励むだけではなく、主人公たちと同じココロで、たっぷりと翻弄されながら読むのが楽しいと思います!
ミステリの醍醐味は謎解きだけど、それだけじゃお腹空くわ、という方。是非ともお読みくださいませ。
そして最後に言いたい。主人公たちにエールを込め、名探偵コナ○風に言いたい。
「ペロッ、これは中年男性の汗!」
※作品中にこのような台詞はございません。たぶん。
おじさん、のなかには少年がひそんでいる。
たとえ40代になっても、ちょっとくたびれた姿のうしろに
やんちゃな顔が隠れています。
そんな41歳の元・少年探偵団は
これまで数々の難事件を解決してきました――おもに、街の小さな事件を。
そして持ち込まれる難題。
怪人・影男爵は何を狙っている?
流血沙汰はありません(たぶん・笑)
殺人事件も起きません(おそらく・笑)
ただもう心地よく、作者・雪うさこの繰り出す
おだやかな文体の流れに乗って
どんどん読み進みましょう。
ちょっと切なくなることも
悲しくなることもあるかもしれない。
でも大丈夫です。
ここには、おじさんの顔をした少年探偵団がいますから。
元『少年探偵団』の今は41歳中年おじさん5人組の探偵団が、謎の『怪人影男爵』と対峙するお話です。
おじさん5人それぞれ個性が立っていて、クールな知性派からぽっちゃりおじさんまで色々取り揃えられております。
私の好みはおじさん達ではなくおじさん探偵団が対峙する『怪人影男爵』です。
まだ怪人影男爵はそこまで出ていないんですけど、冒頭で出てくるだけで心を鷲掴みされました。
おじさん5人は職業もバラバラなので、これからそれぞれの特技を活かして『依頼人小夜子さん』のお願いを解決していくのでしょう。
登場人物は多いのですが、文章が巧いのですんなり頭に入って来て読み易いです!
これから事件がどうなっていくのか楽しみな作品です♬