強く美しく、想い報いる――真摯に「愛」を描いた、至上の青春ロマンス。

胸に響く心理描写、引き込まれる展開、全員主役とすら思えるキャラの魅力……どこを取っても素晴らしい、圧倒的な満足度の一作です。

主人公は、意志も行動力も強固なつよつよ女子高生、深琴さん。「深琴さんカッケエよ……」と何度も思ったことか、強い女に惚れたい読者にはピッタリでしょう。

その深琴さんに言い寄る美青年、相模くん。多くの女子から好意を寄せられつつも、人とまっすぐに向き合えない曲者イケメンが、深琴さんには異様な執着を見せます。

相性最悪に見えつつもお互いほっとけない男女が、不器用な恋模様を繰り広げつつも、やがて深い愛情が芽生えていく……という王道の展開ではありながらも。

二人がお互いに向き合う過程で経験すること、出会う人間たち、起きてしまう事件、その全てがあまりにも濃い。二人の恋を縦軸としながらも、他のキャラクターを交えて広がる横軸が非常に豊かです。
他ペアの恋模様は勿論、家族への愛情や、同性・異性を問わない深い友情が眩しいです(どの関係性も最高に推せる……特に深琴&ひなと深琴&聖山が好きすぎる)
ひとりひとりが主役級の存在感を放ちつつ、彼らとの交流が主役ペアの関係性を変えていく構成もお見事です。

そして深琴さんたちは、好ましい感情ばかりでなく、卑劣な悪意の標的にもなってしまいます。人を弄ぶ身勝手な欲望の前に、育まれた絆は引き裂かれそうになります。胸の痛む展開も強烈でした。

誰かへの愛情ゆえに、闇に打ちのめされそうになりながらも。
人を想うとは、想いに報いるとは、強く在るとは……模範解答のない問いに体当たりし、自分たちらしい答えを見つけていく姿には、とてつもない感動を覚えました。

「人が人を想う」ことを真摯に描ききった、大傑作です。
人間の心情と関係性が好きな小説ファン全員へ、全力でオススメです!

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