食事も強敵もド派手に喰らう爽快バトルファンタジー

かつて『魔王』と呼ばれたゼオンが新たな居場所で第二の人生を謳歌し、個性的な仲間達と共に戦い、日常を過ごし、美味い飯を喰らい、世界の歴史や全貌に少しずつ近づいていく良作ファンタジーです。
何よりもまず主人公ゼオンが魅力的でした。武術でも魔術でも圧倒的な力を持ちながら、それを『ひけらかす』ことなく、自分よりも更に強い者との戦いを望み、それでいて仲間や他人のために怒ったり行動できる部分は、カリスマ性に溢れていました。豪放磊落で嫌味がなく、作品全体のムードを引っ張る『主人公』としては文句ナシの性格や活躍っぷりです。

ただ序盤は改行や句読点の付け方などで、文章技法的に難点が多かったです。とはいえ、読んでいくうちにどんどん読みやすくなっていき、執筆しながら作者さんも成長しているのだなと感じました。
もう一つ改善点を上げるとするのなら、ゼオンだけなくヒロインのノアや、ロイドやダリアやカリフといった仲間達もそれぞれ個性に溢れているので、最低限でもどんな容姿をしているのか、どんな服装なのか、外見に関する描写があれば更に良かったかなと思いました。

ですがバトルシーンや食事シーンの描写は巧みで、ド派手かつスピーディ・美味そうで豪快な食べっぷりと、『バトル×食事』という作品の二大テーマを存分に魅力的に見せてくれました。高い実力を感じる良作です。

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