魔王とお嬢

「ずっと探していたんだ――お嬢」魔王の言葉に目を丸くした料理人のヴィオネッタ。彼女は元侯爵家の令嬢で、断罪の最中に前世を思い出し、人間界から追放されていた。

　転生前の彼女は美緒音（みおね）という名で、ヤクザの家のお嬢様。豪熊会（ごうゆうかい）四代目組長は、彼女の祖父だ。
「ヴィオネッタ・トリアーレ！　僕は盗人を妃にするつもりはない。当然、この婚約は破棄だ！」
「はあ？　盗人ってなんのこと？　婚約だって、元々嫌だったんだけど。下手に出てりゃあ、いい気になりやがって」。憎い王子と略奪女。けれど彼女は家族からも見捨てられ、追放されて魔の森へ。

　前世ヤクザの孫娘が、マズイ食事を改善し食材探しに奔走する。料理で多くの魔族を味方につけたヴィオネッタは、魔王の胃袋も掴めるか？　それともあっさり食べ…続きを読む