見た目(タイトル)はアレだが呑み(読み)やすい佳作!

 今回は、カクテルである『ブラック・レイン』になぞらえて読者諸兄姉に作品を御紹介したい。

 今作は『妖魔・黒蜥蜴(くろとかげ)』である主人公が、妖魔を滅する武器とそれを操る少女と出逢う事から始まるボーイ(妖魔)ミーツガール&バトルものである。
 全体の流れは分かり易いが、設定にはオリジナリティーが満載だ。
 以下に例を挙げる。

 主人公は超強い妖魔であるが、人間世界で生活する際は人間態に擬態しなければならない。
 しかし人間態では妖魔としての実力を発揮できない為、日常生活やバトルでは四苦八苦する事になる訳だ。
 更に、土地神の力を振るうにはゴミ拾い等の奉仕活動を行わねばならないからさあ大変。
 バトル時にスタミナ切れに陥った時などは、丹精込めて育てた花壇の花々や土地の雑草を口にしてスタミナ補給などの行為もしており実に斬新。
ブラック・レイン作成時に使う薬草系リキュールである、ブラック・サンブーカの風味を彷彿とさせる。

 設定こそやや特異な部分が目立つが、文体はフランクで非常に読み易い。
 ストーリー展開もしかり。
 目的の為に潜り込まざるを得なかった『妖魔対策課』でのワチャワチャ展開は、スパークリングワインの如く甘酸っぱい青春を感じる事だろう。

 本作の主人公である黒蜥蜴をイメージしたブラック・レインをやりながら、秋の夜長を気負わず楽しむのもオツなものだ……。




 さあ呑兵衛の諸君、お楽しみの時間である。
 カクテル『ブラック・レイン』を作ってみよう。

 レシピはブラック・サンブーカをスパークリングワインで割るだけ。
 割合は、ブラック・サンブーカ1に対してスパークリングワインが4から9。
 両方をグラスに注ぎ軽くステアして完成だ。

 まず色が良い。
 主人公の黒蜥蜴も真っ青の漆黒だ。

「真っ青の漆黒?」

 我ながら表現に矛盾を感じるがこの際どうでも良い。
 ともかく呑んでみよう。

「……うん、シャンパンのやわらかな酸味と炭酸がブラック・サンブーカ独特の薬草風味と混じってスパイシーな味わいに仕上がっている」

 悪くない、悪くはない……が、いまいちパンチが足りない。
 確か……主人公の黒蜥蜴は味覚が大変に鈍く、ドの付く程の甘党だったはずである。
 だが、ブラックレインにこれ以上甘味をぶち込んでも美味しくなる気配はしない。
 どうするべきか……。

 ポクポクポク(思案中)……チ~ン(閃く)!

「そうだ、マリアージュだ!
 カクテルにこれ以上の甘みを足せないなら、甘いお菓子を食べればいいじゃない!」

 と、マリー・アントワネット張りに(違う)甘い菓子類を探す。
 クッキーや芋けんぴ等もあったが、どうせなので黒蜥蜴にちなみチョコレートにした。
 まずチョコレートを口の中であらかた融かしてから、ブラックレインを含む。

 悪くない、悪くはない……が、ほんの僅かにパンチが足りない。
 せっかくなのでブラックレインを『ミミックボランティア』仕様で楽しみたいのだが、どうするべきか……。

 ポクポクポク(思案中)……チ~ン(閃く)!

「そうだ、ミント(薄荷)だ!
 作中に登場したミントを使ってみればいいじゃない!」

 だが私は以前、別作品のレビュー投稿時に作成した『ミントハイボール』で大失敗し、文字通りの苦い経験をしたばかりだ。
 どうしても腰が引けてしまう……。

 ポクポクポク(思案中)……チ~ン(閃く)!

「はっ! なにもブラックレインにミントオイルを加える事はない。
 チョコレートの方をミントで香り付けすればいいじゃない!」

 という訳で、マリー・アントワネット張りに(もはや無関係)チョコレートの香り付けに挑戦する。

 方法は実に簡単、失敗する方が難しいだろう。
 手近なポリ袋等にチョコレートを入れ、ミントオイルをまぶしシェイクするだけだ。
 早速やってみる。

「チョコレートを袋に入れてと、後はミントオイルをまぶすだけだ……」

 ミントオイルが出ない。
 容器の構造上、なかなかオイルが出て来ないのである。
 そこで私が『フンヌ!』と強めに瓶を振ってみた所、勢い余って三滴がポリ袋内に降りかかった。
 いや、三滴も、である。

 一瞬、私の脳裏に前回の惨劇(※詳しくはモブ モブ夫が2022年10月2日に投稿したレビュー参照)がよぎったが、そのままポリ袋のシェイクを敢行した。
 そして……。

「目がっ、めがーっ!」

 ミントオイルの主成分であるメントールが眼球を激しく刺激し、とてもではないが目を開けていられない。
 そして……。

「い、息が、息が出来ないーっ⁉」

 メントールが鼻と咽喉の粘膜を刺激し、呼吸にまで支障をきたす始末。
 だが、この凄まじい刺激も既に経験済み。

「聖闘士(セイント)に同じ技は二度も通じぬ!」

 とばかりに私はチョコレートを頬張った。
 すると……。

「苦、苦、にっが~~~~~~~~~~~~~~~~~い!」

 チョコレートの甘みと共に、鼻と咽喉の感覚をも車田漫画張りに『ガカアッッ!(車田飛び)』っと吹き飛ばされてしまう。

 前回のレビュー文を一部コピペしてしまうほど、完全に前回と同じ轍を踏んでしまいましたとさ……。
 めでたしめでたし…………『ドシャァァ‼(車田落ち)』。




※ピンポンパンポ~~ン♪
 読者諸兄姉の皆さん、ミントオイルの乱用は控えましょう。
 モブ モブ夫との約束だぞ❤

 後、モブ モブ夫は聖闘士ではありません。
 一休さんでもありませんが最後に……。

「はーい、面白かった~? じゃあねえ~!」

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