この作品は賛否が分かれると思います。歴史原理主義の人は目くじらを立てると思いますが、それ以外の純粋にストーリーを楽しむ人には読みやすい作品だと思います。
架空の年号とかを使い、明確にパラレルワールドをにおわせていますが、中身は本格的な歴史ものです。文語体ではないですが、文芸寄りの文章で、これがこの物語に重厚さを与え、一話一話の読みごたえに繋がっています。
この物語の一番の魅力は、ヒロインです。与えられた運命に立ち向かい、そこから立ち上がる感動物語であり、それをささえる人達の真剣さです。そう、どんなにつらい状況でも、頑張ってみようと思える作品です。だから、今、悩んでいる人にこそ読んでみて欲しい一作です。
豊臣秀吉が天下統一をなした瑞祥(ずいしょう)と呼ばれる架空の時代を舞台に、凍える東北の地を亡国の姫さやとその従者紫月が駆ける。
過去のために、未来のために——
さや姫がほんとうに気の毒で、乱世とはいえまだ十二歳の少女にはあまりに辛すぎる……。そんな彼女が失意の底からどうにか自力で立ちあがろうとするさまを読みおえたとき、この子の行く末を最後まで見届けなくちゃと熱い気持ちがわきました。
ええん…さや姫好きです…大好き…だからどうか幸せになって(泣)
そんなさや姫のそばに寄り添う紫月も、少ない言葉はしやふるまいから深い愛情の持ち主であることが感じられて、登場のたびほっと安心してしまいます。
少年少女の荒旅の果てには、どんな未来が待ち受けているのか。
重厚な世界観に浸りたい方におすすめです!
これは――われわれの知る、実際の時代とは、少しちがう「世界」の物語。
豊臣秀吉の天下統一という、暴力的な流れが奥州を圧し潰す。
その流れの中、三鶴という国が、秀吉の命を受けた近隣諸国の大名から攻められ、崩され、滅びる――さや、という姫を残して。
その残されし姫・さやと、ある少年の邂逅から、この物語は始まります。
姫――さやが忍びの者となっているのは何故なのか?
さやの眼(まなこ)は、如何なるものを映しているのか?
ミステリアスな雰囲気で、頁をめくる手が止められません(実際はクリックですけど^^;)
ぜひ、ご一読を!