「勝ったらうれしい」戦いの動機はそれでいい。
- ★★★ Excellent!!!
今までも「言葉」や「文字」は感情に作用するプログラムだと思っていました。
悲しい物語に涙する。
楽しい物語に笑う。
理不尽な状況に怒り。
美味しそうな物語に飢餓を覚える。
インプットされた文字が、読み手の言語野に作用し、心と体にアウトプットされる。
誰しもそんな経験をしたことがあると思います。
それがまさか、熱を生む物語が存在するとは……。
催眠術などで「焼きゴテを当てる」イメージだけで火傷を負うなんて聞いたことあると思います。
つまり、人間の持つ想像力は物理法則に作用するのです。
少なくとも、自分の心身をコントロールする力があります。
本作は「熱かった」のです。
全編を通してうだるような暑さを感じますが、それは闘いのインフレーションと共に更なる高熱を生む。
特にクライマックス。
熱はもちろんのこと、暴風を、雷撃を、流しそうめんの清涼を、体全体で感じることができました。
また一つ、文字だけで紡がれた「物語」の可能性を垣間見た気がします。