はじめに、レビューがあまり上手くない自覚はあるのですが、作者さんに届けー!という気持ちで、書きたいので書きます……ということを前置きしておきます(これから読む読者さんがこれを眺めていらっしゃったら、私より上手なレビュアーさんがたくさんいらっしゃるので、是非そちらを読んで頂きたいということです)。
初めてタイトルを拝見し、続けてタグを拝見し、……なんだこれ!? と思ったのを、今でもはっきりと覚えております。悪いように捉えて頂きたくないのですが、街中で破天荒な人間を見掛けて、思わず目を引かれてしまった時のような感じです。派手だ、尖り倒している! と。ネットに置かれた無数の作品から選び取られる小説として正解を見た気がしつつ(実際にそれで開いているのですから、まんまと)。加えて個人的な話をいたしますと、熱い男もバディも好物を超えて主食の部類ですから、ページを開いたのです。
驚いたのはその中身です、全くタイトル負けしていない!(失礼や誤解を避けるため、それほど前情報に気圧されていたのだ、ということを強く言い添えておきます)……そして読めば読むほど、派手で尖っていると感じた私の嗅覚は正しかったのだ、という気持ちを強くしました。キャラも文体も表現も、これでもかというくらいの癖と熱量です。読めば絶対記憶に残り、心を掴まれること必至。けれどもそれが先行して怪作だとかイロモノだとか思わせないのは、それをあくまで表現として、熱く生きる男たちの生きざま、人生が、確かにそこに描かれていたからです。まさに魂のぶつかり合い、感情の奔流。生きてる!!!!!! ……最高でした。
唐突に私事ですが、多忙にかまけてつまむような読み方をしたのが勿体なかったと、心底残念に(これに関して、ほんっっっとうに申し訳ない……というのはおかしいですが、とりあえず自分をタコ殴りにしたい)。ので、また最初から読み直そうと思います。むしろ楽しみに。前向きに捉えます。
さらに個人的な感想なのですが、私は熱い男もバディもほんっとうに大好きで、男たちが手を取り合って切磋琢磨し、夢を勝ち取るために戦う!……みたいなものを常に求めているのです。ゆえにこの作品はド刺さりでした! でも最近、あまりこのような作品に出会うことがないので……(なぜでしょう……)、ですからこの作品を読めて本当によかったと思いつつ。
エンタメとはこういうことだ! とわからせられた感もあります。勉強にもなりましたし、とても楽しませて頂きましたし、再度楽しませて頂こうと思います。
最後に、この作品を書いて下さってありがとうございました! 他作品も俄然気になりますので、またどこかにお邪魔いたしますね。
今までも「言葉」や「文字」は感情に作用するプログラムだと思っていました。
悲しい物語に涙する。
楽しい物語に笑う。
理不尽な状況に怒り。
美味しそうな物語に飢餓を覚える。
インプットされた文字が、読み手の言語野に作用し、心と体にアウトプットされる。
誰しもそんな経験をしたことがあると思います。
それがまさか、熱を生む物語が存在するとは……。
催眠術などで「焼きゴテを当てる」イメージだけで火傷を負うなんて聞いたことあると思います。
つまり、人間の持つ想像力は物理法則に作用するのです。
少なくとも、自分の心身をコントロールする力があります。
本作は「熱かった」のです。
全編を通してうだるような暑さを感じますが、それは闘いのインフレーションと共に更なる高熱を生む。
特にクライマックス。
熱はもちろんのこと、暴風を、雷撃を、流しそうめんの清涼を、体全体で感じることができました。
また一つ、文字だけで紡がれた「物語」の可能性を垣間見た気がします。
卓球ダブルスに打ち込む少年ふたりの物語。
1話からパワーワード全開のトンデモ展開を連発しつつ、
努力・友情・勝利・ときに敗北の王道展開、
思わずほろりとさせられる周囲の人との関係も織り込み、
ひりつくような勝負の世界に読者を引き込んでいく。
トンデモだけどトンデモだけじゃない。
王道だけどスパイスあり。
熱過ぎる青春、人情、痛み、そして笑い。
超が付くほど個性的でクセ者のライバル。
エンタメに求めるものは全部ここにある……!
このレビューを書いている時点で、物語はクライマックス直前。
意地とクソデカ感情がぶつかり、
血しぶきが飛ぶ(ほんとに飛びます)
卓球剣戟の行方を多くの人に見届けてほしい。