奈良後期から平安初期という時代を貴方はどのくらい知っていますか?


—— とんでもない物語を見つけてしまったかも知れない。

読み始めて少し経ってからゾクっとしました。
それくらい壮大で、緻密で、思いの詰まった本格的な歴史小説です。

私は、日本史の授業を受けている時、奈良後期から平安初期が苦手でした。
映画やドラマ、小説や漫画でも触れた事が無いというのもあり、とにかくイメージが湧かなくて……。

けれどこの物語を読むと、あの時只々暗記した人物や出来事がどういう人物だったのか、どういう意味があったのかとてもクリアになりました。

そして、歴史の動きも実に丁寧に描かれているのですが、これは歴史書ではなく物語。
歴史の流れを追うだけではなく、その時代を確かに生きていた人々の姿が、まるでその場面を見ていたかのように鮮やかに描かれているのです。

とにかくもう、計略の巡らし合いに息を呑み、人が人を想う心に胸を打たれました。

(個人的には、白壁王が素敵でした。そしてずっと謎だった道鏡についても実に腑に落ちる描き方で胸が熱くなりました。)

また、久米若女、百済王明信、吉備由利など当時の女性たちが実に活き活きと書かれているのもこの物語の魅力だと思います。

奈良から平安にかけてを丁寧に描いた、今までにない物語がここにあります。
是非、読んでみて下さい。