概要
サクサクのパイ生地とシナモンが香る熱々の林檎のフィリングの甘酸っぱさ
島崎瑠衣は、親友の藤村幸恵とゼミの先輩である田中一を付き合わせるため恋のキューピッドとなったが、それは自分の片想いの相手に恋人を作らせる行為だった。お菓子作りの得意な幸恵から協力のお礼としてアップルパイを振る舞われるが、瑠衣にとってそれは失恋の味で――熱々のアップルパイには、濃厚なバニラアイスと苦い失恋のフレーバーを添えてご賞味ください。
※第一回アップルパイ(恋愛)文学大賞参加作品です。
※第一回アップルパイ(恋愛)文学大賞参加作品です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!失恋確定から読む短編。あなたは二度読む事になる。
読了後、もう一度最初から読み直したくなったこの作品。恋のキューピットはいつも顔で笑って心で泣いてだよなあ、なんてありきたりな物語を想像して読み始めたのですが。
「主人公は失恋するのだろう」と感じさせる一文で始まります。だけど、読み進めると先入観通りのお話ではなくて。
親しい先輩と付き合う事になった親友が、引き合わせてくれたお礼として焼いてくれるアップルパイには思い出が折り重なり、二人のやり取りは今までずっと親友だったのだと実感させられる息の合い方で。
この関係が変化してしまうのは、ただただ惜しいと思えてしまうほどに。
最後の一行に、苦しさと生々しさがあってドキリとさせられまし…続きを読む