線香花火のように眩く、儚い短編

ひと夏の思い出が、まっすぐに、すぅっと胸へ染み入ってゆく。
きれいなのに、切ない、まさに線香花火のような物語です。

何気ない日常の描写を、丁寧に積み重ねていっているからでしょうか。
まるでショートムービーを見ているように、映像がゆるやかに頭の中を駆け巡っていくようです。

中でも、線香花火が「のびのびと泳いでいた」という表現が素敵で!
由美ちゃんのまっすぐな気持ちが込められているような気がして、すごく印象に残りました。

読んでいるうちに、自分の中にある思い出も呼び起こされていくような。
ラストシーンではそれが火花となって一緒に弾けていくような、懐かしくてちょっぴり切ない、素敵な余韻を味わえる作品でした。

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