最強の魔道具を作ってしまった魔道具屋 無双する
前木
魔道具開発編
第1話 魔石採掘
俺の名はアンディ。魔道具屋だ。
俺は、水晶の洞窟に、魔道具の材料となる魔石を採掘に来ていた。本来、業者から買えばよいのだが、質の良い魔石を割安に手に入れるために、自分で採取しにきていたのだ。
魔石は魔道具の根本になるエネルギー源だ。魔石に、術式刻印機で魔法陣を刻印して魔法を封じ込め、魔石の魔力で術式を起動して魔法を発生させる。
だから、高品質な魔石であるほど、強力な魔法を封印できたり、素早く術式を起動できたりするのだ。
質の良い魔石を求めて、水晶の洞窟をさまよったが、今日の成果は芳しくなかった。それで、入ったことのないほど、洞窟の奥まで入り込んでしまった。
そこで、俺が出会ったのは・・・アークドラゴン。ドラゴンの中でも強力な上位種だ。アークドラゴンは水晶を食べる。洞窟の奥が、アークドラゴンのねぐらになっていたのだ。
だが、幸いなことに、アークドラゴンは眠っていた。洞窟の中の広間のような空間に寝そべって、寝息を立てていた。
俺はきびすを返して逃げ帰ろうとして、ふと考えた。
アークドラゴンを倒した際のドロップ品に、龍魔石がある。この龍魔石は、魔石の中でも最高峰の品質で、水晶を食べたドラゴンの体内で析出されるものだ。超高度な魔法を封印できる龍魔石は、めったなことでは手に入れることはできない。
まったく稼ぎがなかった今日の俺は、アークドラゴンが眠っているチャンスを狙って、アークドラゴンを退治できないかと考えたのだ。
俺は、アークドラゴンが寝ている広間から、いくらか離れて、装備品を確認した。
護身用に持ってきていた「爆炎の杖 レベル1」 爆発を起こして敵を攻撃する爆炎系魔法のうち、低レベルなものが封印されている。爆炎魔法のレベル1で、スライムやゴブリン、オオトカゲなどの弱い魔物なら、一撃で一掃できるが、アークドラゴンに使っても毛ほどのダメージにもならないだろう。
ダンジョン探索用に用いられる「座標演算の魔道具」 ダンジョンの入口と現在いる位置の間で距離を計算して示してくれる魔道具である。座標演算は魔法使いの初歩の魔法のひとつであり、当然、攻撃能力はない。洞窟を探検して迷ったときのために持ってきていた。
一回だけテレポートが可能な「転移の指輪」 ダンジョン内でなにかピンチに陥った際の緊急脱出用に持ってきていた、瞬間移動をするための魔道具だ。座標指定式の転移魔法が封印されていて、座標演算の魔道具で出口までの距離・方角を計算してから、その位置座標へテレポートすれば、安全にダンジョンを脱出できる。高額な魔道具である。
あとは、何も術式を刻印していない素の魔石が数個と、それに簡単な術式ならその場で刻印できる携帯式術式刻印機だ。
武器になりそうなのは爆炎の杖ぐらいだが、アークドラゴンを倒そうと思うなら、体内ででも爆発させないと到底無理だ・・・
体内?
俺はひとつのアイデアを閃いた。
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